2014 Fiscal Year Research-status Report
婦人科癌における癌微小環境の再構築-新規治療を目指して
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26462542
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
村田 卓也 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20714207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆文 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20303969)
冨松 拓治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30346209)
下屋 浩一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40291950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌の微小環境 / 癌関連線維芽細胞 / 子宮頸癌 / 細胞間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頸癌細胞と子宮頸癌関連線維芽細胞(CAF)の間には、HB-EGFとPDGF-Bを介した細胞増殖の相互作用が存在し、分子のシグナル系を阻害することで、相互作用によって認められた腫瘍増殖促進作用が抑制されるかどうかをヌードマウスの皮下共移植系を用いて解析した。 CAFとしては、手術検体から分離した初代培養CAFにSV40 largeT抗原遺伝子とhTERT遺伝子を導入し不死化した細胞(CCF-TT)を用いた。子宮頸癌培養細胞ME180とCCF-TTをヌードマウスに共移植し、EGFR阻害剤であるErlotinibとPDGFR阻害剤であるImatinibの両剤投与の効果を解析した。i) Erlotinib +Imatinib投与群(6匹)、ii) Erlotinib投与群(6匹)、iii)両薬剤の非投与群(6匹) の3群をとり、8週間にわたって観察し、腫瘍サイズや転移の有無を比較検討した。また、対照群として、ME180単独移植群(6匹)とCCF-TT単独移植群(3匹)をとった。その結果、移植腫瘍の増殖が激しく、個々の腫瘍のサイズのばらつきが大きくなった。また、Erlotinib +Imatinib投与が、Erlotinib単独投与の場合や非投与の場合と比較して、腫瘍縮小効果が促進されることは認められなかった。また、非投与群と比較してErlotinib単独投与群でも、腫瘍増殖の抑制は認めなかった。どの群においても皮下リンパ節への転移は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヌードマウスへの癌細胞と癌関連線維芽細胞の共移植の解析が終了した。初代培養子宮頸癌関連線維芽細胞(初代培養CAF)で見られた皮下リンパ節への転移がCCF-TT(不死化CAF)では認められなかったという新たな知見が得られ、その違いを比較することにより転移遺伝子を発見するという興味深いテーマ設定ができた。新たな展開が可能となっている。 癌細胞と、癌の微小環境に存在する細胞、との相互作用を解析する研究は、婦人科癌の臨床検体が腫瘍サイズとして比較的大きなものが必要であり、現在、症例の待機中である。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮頸癌培養細胞ME180とCCF-TT(不死化CAF)の共移植実験で、皮下のリンパ節転移が認められなかったことが注目される。CCF-TT作製の元となった初代培養子宮頸癌関連線維芽細胞(初代培養CAF)では、ME180との共移植によって皮下リンパ節転移が生じる。そのため、初代培養CAFとCCF-TTの網羅的遺伝子発現を比較解析することにより、初代培養CAFのリンパ節転移を生じさせる遺伝子や分子を発見できると考えられる。 癌細胞と、癌の微小環境に存在する細胞、との相互作用を解析する研究については、婦人科癌の臨床検体が腫瘍サイズとして比較的大きなものが必要である。そのため、適した症例が豊富にあるわけではない。これを克服するために、少量の癌組織をヌードマウスの皮下や同所に移植し、そこで腫瘍量を増加させることを行う。癌の微小環境を構成する細胞は、一部マウス由来の細胞となると考えられるが、癌細胞に対する働きを調べ、ヒト細胞との相同性を解析する。
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Causes of Carryover |
ヌードマウス皮下共移植実験が、マウスの数を当初の予定より増やしたため、予定していたより多くの費用がかかった。そのため、前倒し請求をしたが、皮下共移植ヌードマウスのリンパ節転移の組織蛍光免疫染色実験の請求年度が2014年度3月ではなく、2015年度4月の請求となったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)皮下共移植ヌードマウスの皮下腫瘍および転移リンパ節組織の蛍光免疫染色実験 2)好中球等の癌の微小環境細胞、癌関連線維芽細胞、癌培養細胞の3種類の細胞の皮下ヌードマウス共移植実験 3)好中球等の癌の微小環境細胞を分離するための細胞分離ビーズ 4)ヌードマウスの同所移植実験の解析 5)網羅的遺伝子発現解析の比較で抽出した転移遺伝子の解析 等に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Invasion of uterine cervical squamous cell carcinoma cells is facilitated by locoregional interaction with cancer-associated fibroblasts via activating transforming growth factor-beta.2015
Author(s)
Michikazu Nagura, Noriomi Matsumura, Tsukasa Baba, Ryusuke Murakami, Budiman Kharma, Junzo Hamanishi, Ken Yamaguchi, Kaoru Abiko, Masafumi Koshiyama, MasakiMandai, TakuyaMurata, Susan K. Murphy, Ikuo Konishi
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Journal Title
Gynecologic Oncology
Volume: 136
Pages: 104-111
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Establishment of a Patient-Derived Orthotopic Xenograft (PDOX) Model of HER- 2-Positive Cervical Cancer Expressing the Clinical Metastatic Pattern.2015
Author(s)
Yukihiko Hiroshima, Yong Zhang, Nan Zhang, Ali Maawy, Sumiyuki Mii, Mako Yamamoto, Fuminari Uehara, Shinji Miwa, Shuya Yano, Takashi Murakami, Masashi Momiyama, Takashi Chishima, Kuniya Tanaka, Yasushi Ichikawa, Michael Bouvet, Takuya Murata, Itaru Endo, Robert M. Hoffman
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 10
Pages: e0117417-26
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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