2015 Fiscal Year Research-status Report
類内膜腺癌の個別化医療を目指したゲノムワイドな原因遺伝子・分子標的探索
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26462543
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
杉山 裕子 公益財団法人がん研究会, その他部局等, その他 (80322634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 誠一 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (10334814)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 子宮体癌 / 類内膜腺癌 / ゲノム解析 / 原因遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、増殖症を伴う類内膜腺癌(グループ1)と伴わない類内膜腺癌(グループ2)において、がんゲノムに生じている変異遺伝子を同定することである。RNAシーケンス解析は平成26年度にほぼ終了しており、本年度はその確認として免疫染色を施行した。また、平成27年度は類内膜腺癌グループ1,2の癌部における全エクソンシーケンス解析を主に実施し、目標症例の解析を終了した。その結果を実証するために、RNAシーケンス解析及び全エクソンシーケンス結果をTCGA(The Cancer Genome Atlas)データへ投射し確認した。 以下に本年度の研究結果を示す。 1.全エクソンシーケンス結果 1)グループ1:33例とグループ2:31例の癌部のエクソーム解析を終了した。グループ2の類内膜腺癌はグループ1に比べ、有意にSNV(single nucleotide variant)と Indel (insertion and deletion)数が多い。塩基置換率はAからCへの置換が、group2で多く見られ, CからGへの置換, AからTへの置換はgroup1で多く見られた。2)グループ特異的変異遺伝子の検索:グループ特異的変異遺伝子を検索するため、既にTCGAにて子宮体癌のドライバージーン(DG)と推定されているこれらの遺伝子を用いて、Fisher検定を施行した。その結果グループ2でより多くのDGに変異を認めた。 2.TCGA(The Cancer Genome Atlas)データへの投射:今回得られたグループ1、2の発現データをTCGAデータへ投射した結果、TCGAのデータにて実証可能であった。 以上の結果を第74回日本癌学会学術総会(2015.10)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
その理由を以下に記載する 1.平成26年度にレーザー捕捉微小切除(LMD)法にて、選択的に組織を採取したゲノムDNAを用いてグループ1(33例)とグループ2(31例)の癌部のエクソーム解析が終了し、ゲノム情報の統合的解析を終了した。 2.1の結果をTCGA(The Cancer Genome Atlas)データへ投射し、解析結果を検証した。 3.手術材料のホルマリン固定パラフィン包埋検体を用い、グループ1、2間で発現差が認められたER, PgRに関して免疫染色にて実証実験を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮体癌は組織学的に80%以上が類内膜腺癌であり、組織発生的には、内膜増殖症が前癌病変と考えられ、その発がん過程にエストロゲンの刺激が関与すると考えられていた。しかし、すでにわれわれは、臨床病理学的に類内膜腺癌に前癌病変とされる内膜増殖症を伴うグループ1と、増殖症を伴わないグループ2の2種類のグループがあることを報告し、平成26, 27年の研究結果よりその生物学的差異が明らかになった。 今回の研究目的である、類内膜腺癌グループ1, 2において、がんゲノムに生じている変異遺伝子を同定することの完遂のため、H28年度は主にグループ1の増殖症と類内膜腺癌における、RNAシーケンスおよび全エクソンシーケンスの継続と解析を行い、最終的にグループ1,2の発がん過程に関わる変異遺伝子を同定する。 1.平成26, 27年にRNA/DNAの採取が終了しているグループ1癌部と増殖症部各33例のペア検体を用いて、トランスクリプトームおよび、エクソーム解析を行う。 2.1の結果よりグループ1, 2における類内膜腺癌の発がんに関わる変異遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンス解析に必要な機器購入に本年度の研究費と昨年度の繰越し金のほとんどを使用し、残りの未使用分を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用分の48,090円は次年度の物品費に充当する。
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Research Products
(1 results)