2016 Fiscal Year Research-status Report
アミノグリコシド系抗菌薬の内耳有毛細胞への侵入経路の解明に基づく内耳保護の試み
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26462551
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
川島 慶之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10376759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 佳裕 信州大学, 医学部, 特任教授 (50282752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内耳有毛細胞 / TMC1 / TMC2 / アミノグリコシド系抗菌薬 / 機械電気変換イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
全身投与したアミノグリコシド系抗菌薬の有毛細胞への進入経路を以下の実験により明らかにした。 1. 生後4日(P4)の野生型、およびメカノトランスダクション欠損モデルマウスであるTmc1;Tmc2ダブルノックアウトマウスにゲンタマイシンを投与し、24時間後に安楽死させ、ゲンタマイシンの免疫活性を調べた。野生型の有毛細胞ではゲンタマイシンの免疫活性を認めたが、ダブルノックアウトマウスの有毛細胞ではゲンタマイシンの免疫活性を認めなかった。 2. テキサスレッドで標識したゲンタマイシン(GTTR)を作成し、上記と同様の実験を行ったところ、バックグランドの少ない、同様の結果が得られた。 3. P0からP6の野生型およびダブルノックアウトマウスにGTTRを全身投与し、3時間後に安楽死させ、GTTRの有毛細胞への取り込み量を調べた。ダブルノックアウトマウスではP0からP6まで、取り込み量に変化がなかったのに対し、野生型では、メカノトランスダクションの発達時期に一致して取り込み量が増加した。 4. メカノトランスダクションチャネルを発現する有毛細胞と発現しない有毛細胞がモザイク発現するBACトランスジェニックマウスにGTTRを全身投与した。3時間後に安楽死させ、摘出した蝸牛を直ちにFM1-43dye溶液に浸した。生体内でGTTRを取り込んだ細胞と生体外でFM1-43dyeを取り込んだ細胞が一致した。 以上の結果より、全身投与したアミノグリコシド系抗菌薬がin vivoにおいて主にメカノトランスダクションチャネルを経由して有毛細胞に取り込まれることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験を進めて行く過程で、新たな問題点に気付き、追加実験が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、Tmc1、Tmc2ダブルノックアウトマウスの有毛細胞をメカノトランスダクション欠損モデル有毛細胞として用いているが、アミノグリコシド系抗菌薬の有毛細胞への進入経路がメカノトランスダクションチャネルであることを示すためには、この有毛細胞がエンドサイトーシスを行っていることを証明することが重要と考え追加実験を行っている。
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Causes of Carryover |
研究が当初の予定よりもやや遅れている。また、研究を進める過程で、当初気付かなかった問題点が浮上し、計画の変更が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を進める過程で、当初気付かなかった問題点が浮上したため、追加実験を行う予定である。この追加実験で使用する実験試薬に使用する予定である。
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