2014 Fiscal Year Research-status Report
大脳性平衡機能検査確立を目指した複数非侵襲的脳機能検査統合システム構築
Project/Area Number |
26462553
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
將積 日出夫 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (60187507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高倉 大匡 富山大学, 大学病院, 講師 (50345576)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機能的近赤外線分光法 / 脳波 / 前庭刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非侵襲的な脳機能検査法である機能的近赤外線分光法(NIRS)と脳波(EEG)の両者を同時に記録する独自のNIRS-EEG検査システムの構築し、被験者(健常成人ならびに一側性末梢性前庭障害患者)において各種前庭刺激に対する前庭皮質関連領域を解析し、大脳性平衡機能に臨床応用可能な検査手技ならびに解析方法を確立することを目的とする。 平成26年度では、NIRS-EEG検査システムの構築を目指して、記録・解析系検査システム構築として、全頭型NIRS検査装置(NIRSSTATION 島津製作所)によるNIRS検査のデータ解析において、fMRIで標準的に用いられる脳機能画像解析ソフト(Statistical Parameter Mapping(SPM))のNIRS解析プログラム(NIRS-SPM)を導入した。その結果、従来のNIRS解析では個人の脳機能画像を比較することしかできなかったが、多人数の画像を統計的に解析することが可能となった。また、記録から解析終了までのオフライン処理が短時間に完了することを目指した処理ソフト(アプライド株式会社)を試作して、実際のデータ解析に使用した。一方、EEGについては、NIRSに比べて検査機器によるノイズの影響が大きいため、本年度はシステムの確立のためのノイズ対策を行った。 刺激系検査システム構築として、前庭刺激では、動的体平衡機能検査法(Equitest Neurocom)を新たな前庭刺激法として導入した。Equitestは、重心動揺と連動して前景板や床面を傾斜させることで前庭覚と視覚や体性感覚の間に感覚混乱を引き起こした場合の立体姿勢を評価するバランステストである。ノイズ対策を行い、立位条件下で初めて全頭型NIRS検査装置による脳機能評価が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、非侵襲的な脳機能検査法であるNIRSとEEGの両者を同時に記録する独自のNIRS-EEG検査システムを構築し、被験者(健常成人ならびに一側性末梢性前庭機能障害患者)において各種前庭刺激に対する前庭皮質関連領域を解析し、大脳性平衡機能に臨床応用可能な検査手技ならびに解析方法の確立を目指している。 平成26年度の研究では、解析系・記録系検査システム構築として①試作したデータ処理ソフトによるオフライン処理の迅速化、②NIRS-SPMによる多人数の脳機能画像の統計学的処理が完了した。一方、刺激系検査システム構築として、動的体平衡機能検査装置であるEquiTestを導入して、立位での前庭刺激による前庭皮質関連領域の解析を初めて可能とした。その結果、NIRS-EEG検査システムにおける解析時間の短縮、脳機能画像の統計学的解析手法を確立することができた。さらに、従来の仰臥位、坐位に加え立位での前庭刺激方法の導入に成功した。これらはいずれも臨床応用可能なNIRS-EEG検査システムを構築に必要である。そのため、現在までの段階はおおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究では、記録・解析系検査システムとして、全頭型NIRS-EEG検査システムを構築検査装置を活用した動的体平衡機能検査装置による立位での前庭刺激に対する前庭皮質関連領域の検討をNIRSを用いて実施した。平成27年度以降では、被験者(健常人および一側性末梢性前庭障害患者)に対して仰臥位および坐位での複数の前庭刺激に対する脳機能を評価する計画である。なお、前庭刺激のうち、回転刺激、視運動性前庭性動眼反射刺激では、コンピュータ制御による回転椅子を用いる。EquiTestとあわせて検査室内に大型の刺激装置が複数存在することになるため、これまで以上にノイズ対策がより重要となることが予想される。この問題点に対しては、検査方法毎に検査室内のシールドの工夫などて個別に対処する予定である。なお、めまい・平衡障害をきたす代表的な一側性末梢性前庭障害疾患であるメニエール病と類似の症状が耳管機能不全により生ずることが知られている。今後、被験者の耳管機能を検討するために中耳機能検査装置を購入した。
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