2016 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of IGF1 signaling in age-related hearing impairment
Project/Area Number |
26462557
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 講師 (50335270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 講師 (70378644)
岡野 高之 京都大学, 医学研究科, 助教 (60642931)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内耳 / 加齢性難聴 / インスリン様細胞増殖因子1 / 感音難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者のQOL向上の重要課題のひとつに加齢性難聴の進行防止がある。本課題では、感音難聴および蝸牛障害におけるインスリン様細胞増殖因子1(IGF1)および関連する分子の役割の解析を行い、加齢性難聴の進行防止を目的とした薬物治療に関する探索的な研究を行った。平成28年度には、C57Bl6マウスストレインのおける解析を完了した。C57Bl6では、生後6週、20週、32週の3つの週齢を用いた。聴性脳幹反応では、32週齢では6週齢と比較して、明らかな閾値上昇が、低、中、高音域で認められ、誘発耳音響放射でも反応の有意の低下が計測した全ての周波数で認められ、32週齢では明らかに加齢に伴う感音難聴が進行していることが判明した。一方、20週齢では6週齢との間で聴性脳幹反応および誘発耳音響放射反応の差が認められなかった。組織学的な解析でも、残存有毛細胞数の有意の減少が32週齢では認められたのに対して、20週齢では6週齢と差が認められなかった。すなわち、32週齢では加齢性難聴およびこれに関連する組織学的変性が既に進行しているが、20週齢は、加齢に伴う変化が著明となる前の段階にあるといえる。定量的PCRによる解析では、32週齢ではIGF-1および受容体、関連する下流分子mRNAがすべて減少しているのに対して、20週齢ではigf-1 mRNAは変化が認められないのに対して、受容体と関連する分子のmRNAが低下し始めていることが判明した。下流分子間の発現低下のレベルには、20週齢では大きな差異を認めないが、32週齢では下流分子間の発現レベルの差が顕著となっていることが分かった。これらの知見から、種々あるIGF-1シグナル経路の中で、加齢に伴う蝸牛変性に果たす役割に差異があることが示唆された。また、器官培養系実験により、IGF-1シグナル伝達を特異的に阻害できる薬剤を同定することができた。
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