2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462570
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鈴木 光也 東邦大学, 医学部, 教授 (50302724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10359606)
上羽 瑠美 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10597131)
坂本 幸士 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50323548) [Withdrawn]
牛尾 宗貴 東京大学, 医学部附属病院, 臨床登録医 (70361483)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 蝸牛外側壁 / ABR / 免疫染色 / 透過電顕 / 基底膜 / 陰性荷電 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身麻酔下に生後8週齢のICRマウス(雌)から両側卵巣を摘出し更年期モデルを作成する。コントロール群のICRマウス(雌)には皮膚切開のみのsham手術を施行する。全身麻酔下に手術前、術後4週、8週目にABR(tone bursts at 2k,4k,8k,16k,32k Hz)の反応閾値を測定し、聴覚機能に対する両側卵巣を摘出の影響を分析する。術後8週目で断頭を行って、両側側頭骨を摘出する。通常の固定および脱灰操作を経た後に、右側頭骨はパラフィンに左側頭骨はエポンに包埋する。1)去勢手術前後の蝸牛における性ホルモン受容体発現と局在の変化:パラフィン切片を作成し、蝸牛におけるエストロゲン(α,β)の受容体の局在の変化を免疫染色法によって観察する。 2) 去勢手術前後における蝸牛のNa,K-ATPase, Na+/Cl-/K+cotransporterとvasopressin type 2 (V2Rs)受容体の発現とその局在の変化および毛細血管基底膜におけるIgG沈着の観察 :パラフィン切片を作成し、蝸牛外側壁おけるイオン輸送及び水輸送に関する影響をみるために、Na,K-ATPase, Na+/Cl-/K+cotransporteとvasopressinの各受容体の局在の変化を観察する。さらに更年期の影響によって組織の加齢性変化が加速される可能性が考え、蝸牛外側壁の毛細血管基底膜へのIgG の沈着状況も免疫染色法によって観察する。3)去勢手術前後の蝸牛の毛細血管の陰性荷電の変化:内耳毛細血管のcharge barrier の変化を観察するために、0,5% cationic polyethyleneimine(PEI)溶液内に側頭骨を浸漬した後、エポンで包埋し超薄切片を作成する。蝸牛外側壁(血管条、ラセン靭帯)の毛細血管基底膜上のPEI粒子の分布を透過電顕で観察し、PEI粒子の数を算定し基底膜上の陰性荷電の変化を比較する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全実験動物の術前・術後のABRの測定は終了し、sham手術群に比較して卵巣摘出群ではABR閾値の変化が優位に大きいことが確認されている。全実験動物から蝸牛を摘出し、左蝸牛はエポンで、右蝸牛はパラフィンで包埋が完了している。エポンで包埋された蝸牛の外側壁の超薄切片を作成し、血管条とラセン靭帯の毛細血管基底膜の陰性荷電の変化を透過電顕で観察した。sham手術群に比較して卵巣摘出群では陰性荷電の減少が顕著であると思われるが、現在陰性荷電の程度を算定し定量判定を行っている。右蝸牛に対しては、蝸牛外側壁(血管条、ラセン靭帯)において、Na,K-ATPase, Na+/Cl-/K+cotransporteとvasopressinの各受容体の局在と同領域の毛細血管基底膜へのIgG沈着状況を免疫染色法によって観察する準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに測定したABRの結果をもとに、sham手術群と卵巣摘出群の術後1か月、2か月のABR閾値の変化を比較し、検定を行う。右蝸牛外側壁(血管条、ラセン靭帯)において、sham手術群に比較して卵巣摘出群における陰性荷電の減少の程度定量判定する。 右蝸牛外側壁(血管条、ラセン靭帯)については、Na,K-ATPase, Na+/Cl-/K+cotransporteとvasopressinの各受容体の局在と同領域の毛細血管基底膜へのIgG沈着状況を免疫染色法によって観察する。
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Causes of Carryover |
免疫染色による観察が最終年度になったこと、すべての結果がそろったところで学会発表と論文執筆を行うため、今年度の使用額が次年度に移行された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
免疫染色の抗体の購入費用、国内学会2回、国際学会1回の学会出張費用、および英論文掲載費用にあてるため次年度に使用する。掲載論文には免疫染色のカラー写真を用いる予定である、通常よりも高い掲載料がかかると思われる。
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