2015 Fiscal Year Research-status Report
マクロライドの作用機序の解明と新しい併用療法の開発
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26462578
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石永 一 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (50335121)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | p38 / マクロライド / MKP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度には10-4Mのクラリスロマイシン(CAM)がMKP-1遺伝子発現を亢進し、MUC5AC遺伝子発現を抑制することを解明したが、本年度は、CAMの常用量での組織内移行濃度を考慮して、さらに低濃度の25ug/mlの濃度で再検討している。 細胞株はおもにヒト気道上皮細胞であるNCI-H292細胞を用いて行っており、実験方法としては定量的PCRやウエスタンブロッティング法を主に用いている。本年度の検討した結果としては、1)現在のところ、TNFαにて誘導されるMUC5AC遺伝子発現亢進において、p38MAPKが関与していることをp38阻害薬を用いた実験やp38のリン酸化をみて確認した。2)次に、25ug/mlのCAMはp38のリン酸化を抑制することによってMUC5AC遺伝子発現抑制作用を示していることを解明した。3)さらにMKP-1siRNAにてノックダウンすると、TNFαで誘導したp38のリン酸化は亢進し、、TNFαで誘導したMUC5AC遺伝子発現も亢進することも解明した。尚、ERKの関与についてもp38と同様に検討を行ったが、ERKのリン酸化の実験において対照群とTNFαでの刺激群の間で明らかな差が認められず、これ以上の検討は行っていない。4)25ug/mlのCAMの単独刺激によりMKP-1mRNAの発現亢進がみられるか定量的PCR法で検討したが、今のところ10-4Mの時のように十分な発現亢進を認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロライドの粘液産生の機序の解明については、少なくとも25ug/mlの濃度においてP38シグナルが関与していることは新しい知見として得られている。さらにこの上流のシグナルの解明を行いたい。これの候補の一つがMKP-1であり、現在検討中であるが、おそらく本年度の検討で解明できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはマクロライド単独刺激でMKP-1mRNAの発現を亢進させるかどうかもう少し条件検討を行うこと、それからマクロライド単独刺激におるMKP-1タンパク発現をウエスタンブロッティング法で合わせて検討する予定である。もし十分な発現が得られない場合はMKP-2の検討も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画にのっとって実験は遂行できており,本年度予算もほぼ計画通り使用した。ただ必要な薬品が残金より高額だったため、74196円を次年度繰越金として残しておき、次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も各種サイトカインの購入、ウエスタンブロッティングに使用する試薬や抗体、定量的PCRに用いる各種プライマーや試薬を購入する必要がある。またヒト鼻初代継体培養細胞も使用することを検討しており、細胞の購入や培養のための培養液、試薬も合わせて必要である。
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Research Products
(1 results)