2014 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性鼻副鼻腔炎の発症・悪化に関わる環境抗原由来のプロテアーゼの役割
Project/Area Number |
26462582
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
神前 英明 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (10402710)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 抗原 / サイトカイン / アレルギー / 好酸球性副鼻腔炎 / プロテアーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜上皮では、TSLP、IL-25、IL-33などの上皮由来サイトカインの発現が亢進している。また、病因として真菌や黄色ブドウ球菌などの関与が考えられ、これら外来抗原はいずれもプロテアーゼを含有し、その刺激が上皮由来サイトカイン産生に関わっている。また、内因性プロテアーゼインヒビターは内因性、外因性プロテアーゼに作用することが知られ、内因性プロテアーゼインヒビターであるCystatin A, SPINK5の低下、 欠損がアトピー性皮膚炎の病態に関与することが知られている。そこで、鼻副鼻腔疾患におけるCystatin A, SPINK5発現とその役割について検討した。 鼻副鼻腔疾患における下鼻甲介粘膜と鼻茸の上皮細胞におけるCystatin A, SPINK5の発現を測定した。また、免疫染色を行い、疾患によるCystatin A, SPINK5の発現の違いについても検討した。気道上皮細胞に対するプロテアーゼ刺激によるTSLP、IL-25、IL-33産生の関与について、生化学的手法やsiRNAを利用して分析した。 好酸球性副鼻腔炎では内因性プロテアーゼインヒビターであるSPINK5とCystatin Aの発現が鼻茸上皮細胞で低下していた。正常気管上皮細胞における抗原刺激によるTSLP, IL-25, IL-33産生はrecombinant Cystatin A, SPINK5で抑制され、またセリン、システインプロテアーゼにそれぞれ特異的に抑制効果が認められた。siRNAでこれら内因性プロテアーゼインヒビターを欠損させると、逆に、抗原刺激による上皮由来サイトカイン産生は増強した。 上記結果から、好酸球性副鼻腔炎の鼻茸上皮細胞における内因性プロテアーゼインヒビターの減少が病態形成に関わっている可能性が指摘された。今後はマウスモデルによる実験追加予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データでは、好酸球性副鼻腔炎では内因性プロテアーゼインヒビターであるSPINK5とCystatin Aの発現が鼻茸上皮細胞で低下していることを確認できた。またin vitroによるデータはでは、抗原刺激による上皮由来サイトカイン産生の調節に内因性プロテアーゼインヒビターがかかわっていることが証明されたため、計画どうり順調に進んでいると思われます。
|
Strategy for Future Research Activity |
内因性プロテアーゼインヒビターが何故、好酸球性副鼻腔炎で低下するのか。そのメカニズムについて、抗原を頻回に点鼻投与するマウスモデルで検証する予定である。
|
Research Products
(2 results)