2015 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性副鼻腔炎における難治化因子の解明により下気道疾患の病因を探る
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26462588
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
和田 弘太 東邦大学, 医学部, 准教授 (20307482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性副鼻腔炎 / 好酸球性副鼻腔炎 / 難治性 / 好酸球 / IL-33 / TSLP / ウィルス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、昨年、この好酸球性副鼻腔炎の診断ガイドラインが日本耳鼻咽喉科学会から提唱され、その中でも軽症例、中等度、重症例に分ける診断カスケードを示した。この好酸球性副鼻腔炎は、喘息などの発作、感冒などを伴うと良い手術をおこなっても悪化することが知られている。しかし、これらの発症因子、難治化の因子は同定されていない。以前から副鼻腔炎の発症因子は、解剖学的の異常、細菌感染、ウィルス感染、真菌の感染などが言われてきた。Mayo Clinicでは真菌感染が原因とした。私は以前にマウス樹状細胞を用いて行った研究では、真菌感染があるとTLR3を介したウィルス感染に対する抵抗が減弱することを示した。そのため、ウィルス感染に対する反応が好酸球性副鼻腔炎患者では減弱していると考え、検討を行っている。 東邦大学倫理委員会の承認のもとで当院での副鼻腔炎手術患者より同意を得たのち検討を行う。コントロール群、非好酸球性副鼻腔炎群、好酸球性副鼻腔炎群(喘息なし)、気管支喘息合併好酸球性副鼻腔炎群、アスピリン喘息合併好酸球性副鼻腔炎群の5群に分ける。それらの群から内視鏡下鼻副鼻腔手術中に鈎状突起、鼻ポリープから細胞を培養した。すなわち、鈎状突起から副鼻腔粘膜由来上皮細胞を、鼻ポリープより線維芽細胞を培養した。得られた細胞をTLR3のリガンドであるdsRNAの疑似であるPoly I:Cで刺激を行った。しかし、コントロールであるIL-8の産生は認めるが、気管からの細胞である気道上皮細胞からは以前の報告から認めるはずであるが、TSLPの産生は認めなかった。また同様にIL-33もELISAで測定を行ってみたが、検出感度以下であった。 他の因子であるペリオスチンがELISAで測定できている。今後は、TSLP、ペリオスチンを中心に検討を行う予定である。現在では、刺激した細胞からのRNA測定、組織の免疫染色を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東邦大学大森病院では、年間200例の鼻副鼻腔手術が施行されている。そのため5群の症例数は十分存在している。副鼻腔(鉤状突起)由来上皮細胞、鼻ポリープ由来線維芽細胞も培養も十分に得られている。しかし、参考論文ではTLR3 LigandであるdsRNAの疑似Poly I:Cの刺激で検出されるタンパク質が副鼻腔由来の細胞では検出されていない。すなわち、TSLPやIL-33が検出限界域値以下である。しかし、刺激が入っているかを判断するためにコントロールとなるIL-8は検出されている。今後はIL-4, IL-13などのTh2サイトカインと共刺激を行うこととしている。またPoly I:Cの濃度を様々検討したいと考えている。また、他の因子の検討、ペリオスチンは検出されているため、今後も継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
副鼻腔(鉤状突起)由来上皮細胞は継代2代目までを使用することとする。鼻ポリープ由来線維芽細胞は継代5代目までを使用することとする。 Poly I:Cの単独刺激では予想するサイトカインの検出が得られていないため、今後は、Poly I:Cで刺激をする際に、IL-4、IL-13と共刺激を行うこと、またRhino virusなどを直接刺激を行うことを考えている。Rhino virusを扱うことは東邦大学倫理委員会の承認済みである。また、Outputとしてペリオスチンやペンドリンの検出も検討している。 また、術前後における鼻腔洗浄液中のIL-33, TSLP, ペリオスチンの検討、また血液中のペリオスチンの検討を行いたいと考えている。本検討に関しては、再度、東邦大学医学部の倫理委員会の承認を得たのち、検討を行いたいと考えている。
TSLPに関しては他のELISAキットの使用も検討している。
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Causes of Carryover |
培養細胞をPoly I:Cで刺激を行ったところ、予想した反応が得られなかったためである。そのため、当初に予定をしていたサイトカインELISAキットを購入が不要となったため、未使用額が生じたことが理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、Poly I:CにIL-4, IL-13を添加して刺激を行う予定である。また、ぺリオスチン、ペンドリンが検出できるかを検討したいと思っている。
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