2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト乳頭腫ウイルスシグナル伝達に着目した喉頭乳頭腫に対する新規治療の開発
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26462598
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
室野 重之 金沢大学, 医学系, 准教授 (20345622)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 喉頭乳頭腫 / HPV / 血管新生 / VEGF |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭乳頭腫の培養細胞モデルの作成のため、前年度実績に基づき、手術により採取し細切した組織を培養シャーレに直接置き、コラーゲンゲルで被覆する方法を採用し継続した。細切組織の周囲に上皮細胞の増殖を認め、乳頭腫細胞と考えられた。コラゲナーゼにより被覆したコラーゲンを分解した後、トリプシンを用いて増殖した細胞をはがし、新たにシャーレに培養を開始した。乳頭腫と思われる細胞の増殖を認めたため、さらにトリプシンではがした後に、研究目的であるEGFRシグナル系の活性化やシクロオキシゲネース-2(COX-2)の発現を検証、さらにはCOX-2阻害薬の効果を検証するため、分注して増殖を試みた。しかし、それ以降の増殖は確認できず、研究は停滞している状態である。 並行して、摘出した腫瘍組織11標本において免疫染色も開始した。ヘマトキシリン・エオジン染色では、腫瘍のコアに毛細血管が発達していることを確認した。血管新生因子である血管内皮増殖因子(VEGF)は、全例において、コアの毛細血管の周囲に発現を認めた。コア様の組織構築を示すが毛細血管の管腔を明らかに確認し得ない箇所においても、VEGFの発現を認めた。これは、毛細血管構築に先立ってVEGFが発現することを示唆し、乳頭腫組織における血管新生を示しているものと思われた。また、VEGFの発現に一致するようにCOX-2の発現も認めた。一方、血管新生作用の知られている誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の発現はVEGFに比べると弱いものの観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
培養細胞モデルの作成を目標としているが、達成できていない。そのため、EGFRシグナル系の活性化の検証ができていない。組織をコラーゲンゲル下に埋める方法により、細胞の増殖は確認し、二代目への継代は可能であったが、実験を実施するために三代目として分注しての増殖を試みるが不可であった。 並行して施行した、摘出した腫瘍組織における免疫染色による研究は、想定どおりの進捗であり、おおむね予想した結果を確認することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞モデルの作成のため、前年度に視察したFeinstein Institute for Medical ResearchのDr. Steinbergのラボとの連携を密にし、引き続き培養細胞モデル確立に従事する。その上で、当初予定の、(1)EGFRシグナル系の活性化をウェスタンブロットによる検証、(2)EGFR抗体処理による増殖ならびにシグナル伝達系因子の変化の検討を、可能な限り行う。さらに、(3)血管内皮細胞との共培養による血管新生の有無の観察、ならびに(4)そのメカニズムの一つとしてVEGFの発現を検討するとともに抗VEGF抗体で細胞を処理し血管新生の抑制の有無を観察することも可能な限り行う。 あわせて、摘出した腫瘍組織を用いた免疫染色を、さらにEGFRシグナル伝達系に着目して進めていく。
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Research Products
(2 results)