2014 Fiscal Year Research-status Report
320列面検出型CTによる咽頭癌治療後の嚥下動態の解明
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26462601
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 保志 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40344337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 信吾 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90335034)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頭頸部癌 / 嚥下障害 / 機能再建 / 機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず320列多面CTを用いた嚥下評価のシステムを構築するため、条件の設定や院内のLacal area netwerkの環境整備を行った。放射線画像情報を研究室内で画像解析法を可能とし、安全性などを確認した。 並行して、口腔癌の術後嚥下障害について、新しいリスク分類を考案し報告した(投稿中)。具体的には2002年7月から2014年3月までに名古屋大学医学部附属病院耳鼻咽喉科において、口腔欠損に対して遊離組織移植再建をおこなった口腔癌手術41例を対象として術後の摂食嚥下能力を検討した。広範囲口腔切除術の嚥下障害リスク分類を嚥下機能改善手術の適応の観点から試みた。高危険群とは両側舌骨上筋群の切除を要し、舌根を50%以上切除する症例であり、喉頭挙上術の絶対適応と考えている。低危険群とは基本的な喉頭挙上の構造が温存できる場合で、具体的には舌亜全摘や舌根半切程度の切除である。正中をこえる切除であっても、対側の舌骨上筋群が温存でき、舌根切除が50%以下なら低危険群とした。中等度危険群は低危険群と同等の切除範囲であるが、高齢(60歳以上)あるいは術前からの嚥下機能低下を認める場合である。高危険群の全例に喉頭挙上術・輪状咽頭筋切断術が行われ、中等度危険群の症例では初回手術時に同時に喉頭挙上術を追加し、さらに舌根半切以上の場合には輪状咽頭筋切断術を追加した。低危険群には嚥下機能改善手術は行わなかった。嚥下障害リスクを3群に分けたが、平均年齢と標準偏差は高危険群、中危険群、低危険群の順に、53±14歳、75±9歳、59±13.7歳であった。広範囲切除例であるが全体では89.8%で経口摂取が自立可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
320列CT画像の解析用ワークステーションの納期が遅くなり、2014年末になるまで実質的な研究準備を開始できなかった。しかし対象となる手術治療あるいは放射線治療後の患者層のリスク分類を明らかにした研究を進行させ、すでに投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
咽頭癌の治療後の嚥下動態を320列ADCTを用いて定量的に解析する。嚥下造影検査も組み合わせて施行するが、咽頭癌治療においてこれまで解明が困難であった咽頭収縮、舌根運動に特に注目して嚥下運動時の咽頭収縮率、残留率の実測値を比較検討する。特に、中咽頭側壁癌における舌根部縫合法の違いによる咽頭収縮の変化、舌再建後の舌根運動についてはこれまでの報告がない。再建皮弁の選択や逢着法の改善につなげられることが期待される。また、放射線治療後晩期合併症としての舌根萎縮の程度についても解析を進める。
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Research Products
(4 results)