2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞治療に分化誘導因子およびマイクロRNA制御を加えた粘膜再生治療
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26462608
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
穐山 直太郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (90554238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 智美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (40372776)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / 口腔咽頭科 / 口腔潰瘍 / 粘膜再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔潰瘍は粘膜上皮幹細胞あるいは前駆細胞の破たんが発症の契機となり、摂食経路における粘膜上皮の欠落は疼痛に伴う摂食障害から栄養状態の悪化を招き、免疫抑制あるいは不全状態では局所における感染から菌血症、真菌血症、敗血症を誘発しうる重大な危険因子として指摘されている(Duncan M and Grant G, 2003)。潰瘍の治療ターゲットは粘膜保護作用を有する薬剤のみでなく増殖因子や炎症性サイトカインなど広範囲に及ぶがまだ十分とは言えず、根本的な解決策として再生医療に期待が高まっている。自己の培養細胞を用いた細胞治療は一つの理想形であるが臨床応用についてはさらに効率化を図る必要がある。われわれは生体環境に近い組織再生、移植方法の簡素化といった観点から組織再生の3要素である、細胞、足場、調節因子を移植し、生体内で組織再生を図るin situ tissue engineeringに注目し、口腔潰瘍をターゲットに細胞治療による組織再生の効率化を目指すことを本研究の目的とした。 平成26年度は口腔粘膜潰瘍モデルの作成を行った。麻酔下にラットの口腔粘膜を載除鉗子で鉗除し、潰瘍を作成した。本モデルは肉眼的には潰瘍形成4日目で潰瘍の改善傾向を認め、7日目で治癒傾向であった。組織学的解析では潰瘍形成1日目から潰瘍縁に角化を伴わない上皮の伸長傾向を認め、潰瘍形成4日目をピークに潰瘍底に肉芽形成が確認され、7日目には上皮化の著明進行及び肉芽縮小傾向、間質肥厚の減退傾向を認め、潰瘍形成14日目には粘膜上皮および間質の正常化が確認された。今後、免疫組織化学的手法を用い、エピジェネティック制御も含めた解析を行うことで口腔潰瘍治癒機構の解明につながることが予測され、また、本モデルを用いてin situ tissue engineeringによる細胞治療を検討することで粘膜上皮再生の効率化を目指した潰瘍治療の開発へつながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度として動物実験モデルを作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔潰瘍動物実験モデルの解析を進める。その後、in situ tissue engineeringによる細胞治療の検討を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
動物実験モデルの作成を効率的に行うことができ、大幅なコストダウンにつながった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、口腔潰瘍動物実験モデルの解析並びにin situ tissue engineeringによる細胞治療の検討を行う予定であり、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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