2014 Fiscal Year Research-status Report
上皮細胞極性と器官形成シグナル制御による咽頭がん浸潤・転移抑制因子の探索
Project/Area Number |
26462613
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
近藤 敦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40457718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 賢一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404689)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | .咽頭がん / 細胞極性 / タイト結合 / 接着分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの制圧には発癌抑制、増殖抑制、浸潤転移抑制が重要であり、咽頭癌の浸潤転移に関わる可能性があると考えられる、細胞極性制御因子、器官形成制御シグナル経路、EMT関連因子について検討を行うことを本研究の目的としている。 がん細胞では器官形成シグナル経路の変化により浸潤転移がおきると考えられているが、この経路の上流において細胞極性制御因子が関与している。咽頭がんなどの頭頸部扁平上皮癌における細胞極性因子と考えられているJAM-Aが、腫瘍の浸潤先端部分で高発現していることを見出したが、今回咽頭がん細胞株を用いて頭頸部扁平上皮癌におけるJAM-Aの役割をみるため以下の検討を行った。 siRNA-JAM-A導入による咽頭がん細胞株の増殖度を評価したが、siRNA導入によりJAM-Aの発現が低下していることが免疫染色等により確認された。また増殖速度の減少も認められた。更にsiRNA-JAM-A導入による咽頭がん細胞株におけるmigrationを検討したが、siRMA導入群ではコントロールと比較して浸潤細胞数の減少が認められた。JAM-A発現が抑制されることで遊走能が低下する可能性が考えられた。 以上からJAM-Aは咽頭がんなどの頭頸部扁平上皮癌の悪性化や浸潤転移に密接に関係している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究では、咽頭癌の浸潤転移及び予後に関連する可能性があると考えられる細胞極性制御因子、器官形成制御シグナル経路、EMT関連因子の視点から検討を行うこと目的としている。今回器官形成シグナル経路の上流にある細胞極性制御因子であるJAM-Aについて、上記概要のように頭頸部扁平上皮癌の悪性化や浸潤転移との関連について検討を行っており、またJAM-Aのシグナル伝達経路や発現調節機構についても検討をすすめており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞極性因子であるJAM-Aは細胞膜近傍にあるAF-6,PDZ-GEF2,Rap-1などのシグナル伝達蛋白群を介してβ1-integrinを活性化させ、がんの転移浸潤を亢進させると考えられている。またRap-1は器官形成制御シグナル経路に関連しており、今後細胞極性制御因子が器官形成シグナル経路にどのような影響を与えるか、更にはEMT制御にどのようにかかわるかを検討していく予定である。細胞極性因子であるJAM-Aについては、そのシグナル伝達経路や発現調節機構についても更に検討をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
測定機器などの備品はすでにそろっているため、主に消耗品に対してはおおむね予定通りの支出が行われた。学会での成果発表については一部次年度以降に予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分の研究費とあわせて、主に消耗品の購入ならびに成果発表のための学会発表旅費、学会参加費等に充当する計画である。
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