2015 Fiscal Year Research-status Report
組織シーラントによる新しい網膜剥離手術手技の開発とヒトへの臨床応用
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26462631
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡本 史樹 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30334064)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 網膜剥離 / 硝子体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.FocalSealを用いた網膜剥離手術の有効性,安全性の検討 有色家兎に全身麻酔をかけ,0.4%塩酸オキシプロカインを点眼することで,眼表面麻酔を行う.25ゲージ経結膜硝子体手術を行い,硝子体カッターにて硝子体切除を行う.実験的網膜剥離を作成し,液体-空気置換により網膜を復位させFocalSealを塗布し,60秒の光照射を行って網膜裂孔を閉鎖して空気-液体置換をして手術を終了した.コントロールには液体-空気置換により網膜を復位させたのみの群を設定した.注入前と注入後1,7,14,28日、2,3,6ヶ月において手持ち細隙灯顕微鏡での前眼部観察と単眼倒像鏡による眼底観察を行ったが,軽微の炎症を認めるのみであった.網膜剥離の進行は認めなかった.網膜光干渉計により,網膜裂孔が拡大していることがわかった.裂孔の拡大はシーラント物質がポリエチレングリコールであることから,水を吸って膨潤するためと考えられた.現在網膜の組織学的評価を行っている.論文を執筆中である.
2.新しいハイドロゲルを用いた硝子体手術の有効性,安全性の検討 FocalSealの問題点として,膨潤するために術後網膜裂孔が拡大することがあげられる.我々は膨潤しない新たなハイドロゲルを用いて上記と同じ硝子体手術を行い,その安全性を確かめている.まず,網膜剥離を起こさずに硝子体切除のみ行い,経過観察を行っているが,注入前と注入後1,7,14,28日、2,3,6ヶ月において手持ち細隙灯顕微鏡での前眼部観察と単眼倒像鏡による眼底観察を行ったが,軽微の炎症を認めるのみであった.網膜光干渉計による観察でも網膜の浮腫や炎症は認めなかった.現在論文を執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画の初年度の実験はすべて行った.網膜剥離の再発を実験レベルで抑えることができた.しかし,シーラントの膨潤による裂孔拡大が問題点として浮き彫りになった.そこで今年度はFocalSealでの実験の論文執筆とともに,膨潤しない新たなシーラント物質を用いて硝子体手術の実験を行っている最中である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の初年度で達成していない部分(組織評価と長期評価)をまず達成させる.そして論文を執筆する.また,膨潤しない新たなシーラント物質の網膜への毒性の評価.そして網膜剥離手術の安全性,有効性を評価する予定である.
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