2015 Fiscal Year Research-status Report
次世代シークエンサーを用いたわが国の網膜色素変性患者の遺伝子診断システムの構築
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26462659
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 修一 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20230550)
寺崎 浩子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40207478)
細野 克博 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60402260)
高橋 政代 国立研究開発法人理化学研究所, 網膜再生医療研究チーム, チームリーダー (80252443)
蓑島 伸生 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (90181966)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜色素変性 / 遺伝子変異解析 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素変性(Retinitis Pigmentosa; RP)は、失明に至る遺伝性、進行性の疾患群であり、網膜を原発性、びまん性に障害する。RPは常染色体優性遺伝(ad)、常染色体劣性遺伝(ar)、X連鎖性遺伝形式が知られる。これまでに70個以上の原因遺伝子が同定され、遺伝的異質性が知られている。 我々は、日本の基幹施設からarRP患者を収集し、arRP原因遺伝子の大規模スクリーニングを行い、日本人RP患者に高頻度に認められる原因遺伝子を発見した(Hosono et al., PLoS One 2012)。わが国では、EYS (Eyes Shut Homolog)遺伝子検索により、18~26%のarRPの原因遺伝子の同定が可能である。本研究はこの研究成果をさらに発展させ、日本人の遺伝性網膜変性患者を効率よくスクリーニングできる遺伝子診断システムの構築を目的とする。本年度は収集した遺伝性網膜変性患者の原因遺伝子の変異探索を実施し、以下の結果が得られた。 浜松医科大学眼科を受診した小口病患者に対して次世代シークエンサーを用いて変異探索を行った。対象は68歳女性。両親は近親婚ではない。視力は右0.2(0.7)、左0.06 (0.1)。両眼底に色素上皮の広範な萎縮と一部に金箔様の反射を認めた。ゴールドマン視野検査で弓状暗点を認め、OCT では黄斑部網膜の菲薄は強く、黄斑部から周辺にかけて視細胞内節外節接合部ラインは消失していた。蛍光眼底造影でびまん性の過蛍光を認めた。網膜電図で桿体・錐体反応はほとんど消失型であるが、フリッカーERGでわずかに波形が確認できた。遺伝子解析の結果、SAG遺伝子にc.636delT (p.Leu213SerfsX14)のホモ接合体変異を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、収集した遺伝性網膜疾患患者の遺伝子診断を行うために次世代シークエンサーを使用した変異探索法の検討を行った。使用機器は、次世代シークエンサーMiSeq (イルミナ社)を使用した。遺伝子変異を同定するため、RPとLCAの原因遺伝子74個を解析対象とした遺伝性網膜疾患パネルをデザインした。研究分担者らは、このライブラリーを使用してLCA患児より新規の原因変異を同定している(Hosono et al., J. Ophthalmol. 2015)。 変異解析の結果、c.636delT (p.L213SfsX14)の ホモ接合体の変異を認めた。得られた変異はサンガー法で確認実験も行っている。また、臨床像から小口病の非典型例が疑われた。日本人の小口病におけるSAGのc.926delA遺伝子異常がホモ接合体で同定される事が多いが、今回同定したc.636delTは新規変異である。 以上より研究目的の達成度はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画は以下の通り。 既に収集した遺伝性網膜変性患者の内、原因変異が未同定の患者について次世代シークエンサーを用いた変異探索を引き続き実施する。また、遺伝子解析結果をもとに、原因遺伝子の変異部位と臨床症状との関連も検討する。例として本年度に同定したSAG遺伝子のc.636delTを持つ小口病の非典型例患者の臨床像とSAG遺伝子のc.926delA変異を持つ小口病4症例の臨床像の比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究消耗品の調達に際し、予定額より安価で購入できた為72000円の繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究では、PCRダイレクトシークエンス法と次世代シークエンサーを用いてRPまたはLCAの原因遺伝子の変異探索を行う。当施設には既に必要な設備は整っているため、主な消耗品はシークエンシングに用いる試薬である。 平成27年度の成果報告を第120回日本眼科学会(仙台)、RD2016(京都)、ARVO2016(米国)等で参加発表を行うための旅費として使用する。
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Research Products
(7 results)