2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of epithelial mesenchymal transition and regeneration of lens in posterior capsule opacity after cataract surgery.
Project/Area Number |
26462672
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
久保 江理 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10262619)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 後発白内障 / 上皮間葉系移行 / トロポミオシン / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
トロポミオシン(Tpm)2は、水晶体上皮細胞(LEC)の上皮間葉系移行(EMT)や白内障術後の後発白内障発症に関与している。今回、Tpm2の水晶体における役割を解明するために、CRISPR-Cas9システムを用いた新しいゲノム編集技術によりTpm2ノックアウト(KO)マウスを作成し、水晶体におけるTpm2の役割を解析した。7週齢のTpm2ヘテロKOマウス(Tpm2+/-)では、白内障の混濁や組織変化が生じていなかったが、24週齢のTpm2+/-では、水晶体中央の前嚢下混濁様変化や水晶体皮質浅層にリング状の混濁を認めた。HE染色では24週齢のTpm2+/-で、水晶体皮質浅層に線維の膨化や配列の乱れを生じていた。コントロールのワイルドタイプマウス(WT)水晶体では、7、24週齢ともに水晶体に変化は見られなかった。マウスにおけるTpm2のKOは、加齢による白内障を発症していた。この結果より、Tpm2は水晶体線維の分化に重要な働きをしている可能性が示唆された。 さらに、水晶体の創傷治癒反応におけるTpm2の影響をみるため、角膜より31G針にて水晶体前面に穿刺を施行した。Tpm2, α平滑筋アクチン(αSMA)の発現を免疫染色で観察した。結果:Tpm2とαSMAは、Tpm2+/-, WTともに穿刺前の水晶体では発現が検出できない。穿刺後の創傷治癒部位のEMTを生じた伸長したLECにおいて、Tpm2とαSMA発現が上昇したが、Tpm2+/-では、創傷治癒部位における線維芽細胞様変化が、WTマウスに比べ少なく、Tpm2とαSMA発現も低かった。結論:CRISPR-Cas9を用いた新しい技術においてTpm2-KOマウスを作成することができた。Tpm2は、創傷治癒部位におけるEMT、線維芽細胞様増殖に関与しており、Tpm2の抑制は後発白内障を抑制できる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)