2016 Fiscal Year Research-status Report
OPA1遺伝子変異を有する優性視神経萎縮症における眼科的および全身的症状の研究
Project/Area Number |
26462674
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
角田 和繁 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 視覚研究部, 部長 (30255525)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 孝彰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10297418)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 優性視神経萎縮症 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究3年目の時点で、東京医療センターおよび東京慈恵会医科大学において合計45家系50症例がエントリーされた。このうち一時的な遺伝子解析が終了した症例は合計33家系であった。これらのうち22家系においてOPA1遺伝子に病的変異を認めた。変異のタイプとしてはアミノ酸置換、欠損、スプライス異常などが見られ、変異のなかにはこれまでに報告の無い新規変異も含まれていた。 臨床所見は全例で視神経萎縮および中心感度の異常が見られた。眼外症状については3家系、3症例においてAuditory neuropathyによる難聴が見られた。また、1症例において外眼筋麻痺および軽度の歩行障害が見られた。さらに、遺伝子検査の確定していない1家系において、Auditory neuropathyを示唆する難聴が見られ、現在耳鼻咽喉科専門医によって精査を行っている。 遺伝子検査の結果、日本人の優性視神経萎縮症におけるOPA1遺伝子異常は多岐にわたっており、また、Auditory neuropathyを発症した症例はいずれもアミノ酸置換によるものであった。 これまでの報告をまとめると、明らかな眼外症状が見られた症例は3-4症例であり、全体の10%には満たず、欧米の報告にみられる合併症頻度に比べて低い数値であった。ただし、本研究グループにおける合併症頻度は、これまでの国内の報告に比べると比較的多いと考えられる。その理由として、国内では優性視神経萎縮症の眼外合併症の認知度が低いことが考えられ、これを機会に本疾患の正確な病態について全国の眼科医、耳鼻科医に周知すべき必要性が感じられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例収集数は目的の数値に達しており、遺伝子解析も7割程度の症例で終了している。 合併症例についての耳鼻科等他科依頼についてもおおむね終了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の目標症例数はほぼ達成されているが、遺伝子解析についてはOPA1遺伝子に変異が見られない症例が多く見られた。解析にあたっては途中からMiSeqを用いたmultiplex PCRで多数検体を一度にスクリーニングする方法を用いており、すべての症例についてのサンガーシークエンスによる確認は終了していない。 また、これまでの解析で変異が見られない症例については、家系内で全エクソン解析を行っているが、現在のところ解析は終了していない。 これらの方法を用いて、全ての症例の臨床型、遺伝子型が明らかになったところで、本疾患とOPA1遺伝子変異、全身合併症例との関係が明らかとなるため、ひきつづき解析を遂行する予定である。
|
Causes of Carryover |
全体症例数に対して全身合併症を有する症例数が予想より少なく、可能な限り多くの症例を追加して全体像を検討したいため。また、これまでの解析で変異が見られない症例については、家系内で全エクソン解析を行い、関連遺伝子の検索を行う必要があるため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たにエントリーされる症例の遺伝子解析のための消耗品購入、データ整理のための人件費、成果発表のための学会参加費、論文執筆のための費用に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)