2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462681
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山上 聡 日本大学, 医学部, 教授 (10220245)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 杯細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト結膜上皮を無血清・無フィーダーで培養し増殖因子をコントロールすることで、single cell由来の細胞を結膜上皮系細胞と杯細胞に別々に分化させることに成功した。本研究では、増殖因子受容体、MAPKファミリーの細胞内外のシグナル伝達機構を明らかにし、ヒト結膜由来の分泌型杯細胞の分化・活性化の全容を明らかにする。明らかになった細胞内・細胞外のシグナル伝達機構をもとに結膜の杯細胞を刺激してドライアイ患者の粘液層を強化する治療薬の開発を目指す。同時に別の増殖因子で発現の明らかになった膜型ムチンの発現促進機構を明らかにし、涙液の粘液層に関する治療応用につなげることが目的であった。 そこでp42/p44 MAPK (ERK1/2), JNK, p38MAPK、ERK5などMAPKファミリーの細胞内外のシグナル伝達機構を明らかにすることを目的とした検討を行った。多くのインヒビターを用いた機能解析の結果、これまでにERK1/2がシグナル伝達に関与していることが明らかとなった。さらにウエスタンブロッテイングでの発現レベル解析、リン酸化の過程を明らかにする免疫染色の結果もえられたため、ERK1/2はこの細胞内シグナル伝達に関与しているもと考えられた。しかしインヒビターを用いた抑制は完全でないことから別の経路の関与も示唆された。そこで他のインヒビターを用いた検討をおこなったところERK5の関与の可能性が考えられた。そこで今後はその経路が実際に関与しているかに関する検討を追加していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ERK5がシグナル伝達に関わる可能性があるが、リン酸化ERK5の免疫染色やウエスタンブロッテイングなどでの検討で明らかな証拠がえられていない。また結膜細胞の入手が難しく、実験の進捗を遅らせる一因ともなっている。ヒト結膜中のMUC5AC蛋白の存在を確認していますが、研究用移植角膜に残存する結膜サンプル量が少ないため、多くの研究用角膜から結膜組織を採取し蓄積する必要が生じ、想定以上の時間を要している。さらにwestern blottingでコントロール正常結膜にMUC5AC蛋白の検出ができておらず、別の抗体を複数購入しさらに検討を行う必要が新たに生じてきているため遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカアイバンクに依頼して結膜組織が多く残った研究用角膜の輸入を依頼している。また抗体のクローンを変更してリン酸化ERK5の免疫染色やウエスタンブロッテイングを行うことで裏付けとなる検討を追加して公表レベルに持っていく必要があると考えており、検討を継続中である。ヒト結膜中のMUC5AC蛋白の存在を確認していますが、研究用移植角膜に残存する結膜サンプル量が少ないため、多くのの研究用角膜から結膜組織を採取し蓄積する必要が生じており、今後多くのサンプルを入手する予定である。western blottingでコントロール正常結膜にMUC5AC蛋白の検出ができていないことから、別の抗体を複数購入しさらに検討を行うことにしている。
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Causes of Carryover |
アメリカアイバンクに依頼しても結膜組織が多く残った研究用角膜が入手が難しく、研究遅延の原因となっている。ERK5とリン酸化ERK5の抗体がうまく機能していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アメリカアイバンクに依頼して結膜組織が多く残った研究用角膜の輸入を依頼しているので、結膜組織の入手に予算を使用する。また抗体のクローンを変更してリン酸化ERK5の免疫染色やウエスタンブロッテイングを行うことで裏付けとなる検討を追加して公表レベルに持っていく必要があると考えており、抗体の購入に研究費を用いる予定である。
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