2015 Fiscal Year Research-status Report
バイオナノシートを用いた新しい眼科ドラックデリバリーシステムの開発
Project/Area Number |
26462682
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
柏木 賢治 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (30194723)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | バイオナノシート / ドラックデリバリーシステム / 緑内障 |
Outline of Annual Research Achievements |
高い生体適合性を有する高分子から作成された膜厚数十ナノメートルの超薄膜(バイオナノシート)の眼科応用について昨年度に引き続き研究を行った。 本年度においては、緑内障濾過手術の補助剤としての機能について検討を行った。その結果、バイオナノシート素材が細胞の増殖能、遊走能を阻害することをin vitroで確認した。また瘢痕治癒の阻害剤として臨床的に用いられているマイトマイシンC(MMC)を含有したバイオナノシートを作成、MMCの放出についてin vitroで検討した。その結果、臨床資料量の数百分の1の担持量で2週間長期にわたりMMCが除法されるシステムを構築した。MMCは眼科臨床では緑内障の主要手術治療である線維柱帯切除術の際に補助薬として術中に投与され、術後の好成績に貢献しているが、虚血性の変化をきたすため組織剛性が低くなり感染の危険性が増大する。今回開発したMMC担持バイオナノシートを用いてウサギに対する線維柱帯切除術に補助的に用いたところ、術中単回投与に比べより長期間の眼圧下降を低用量で達成することが確認された。この結果はより安全な緑内障手術治療に貢献すると思われる。またGMP基準に則ったバイオナノシートの作成が可能となった。今後はこれまでの成果を基にバイオナノシートのヒトへの応用を計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオナノシートの組織接着について接着効率に課題があり当初の予定した貼付効果が得られてない部分はあるが、緑内障手術治療への応用、ヒトへの応用への準備の完了などを達成しておりおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
緑内障手術における補助療法として今回用いたMMC以外の担持薬剤の可能性についての検討を行う。さらに抗菌剤や抗緑内障治療薬、抗血管内皮増殖因子の担持、硝子体への薬剤デリバリーなどについて検討を行。一部の課題についてはヒトへの臨床応用に向け準備を進めていく。
|
Causes of Carryover |
当該年度内に予定していた実験の内、ウサギを用いた実験がナノシート素材の提供が遅くなったため想定した回数よりも少なかった。このため実験費用が予定額よりも低くなった。 また、一部使用を計画していた抗体や試薬が製造中止もしくは生産の遅れが発生したために、これらに利用する計画であった費用が本年度未使用分として計上された。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、本年度の実験計画として挙げていた、免疫染色実験とウサギを用いた実験については抗体や試薬、またナノシートの提供が次年度には可能となるために、これらの実験用として使用を計画している。
|
-
-
[Journal Article] Evaluation of the associations between changes in intraocular pressure and metabolic syndrome parameters: a retrospective cohort study in Japan.2016
Author(s)
Yokomichi H, Kashiwagi K, Kitamura K, Yoda Y, Tsuji M, Mochizuki M, Sato M, Shinohara R, Mizorogi S, Suzuki K, Yamagata Z.
-
Journal Title
BMJ Open
Volume: 24
Pages: 10360
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
-
-
[Journal Article] SLC1A1 Gene Variants and Normal Tension Glaucoma: An Association Study.2016
Author(s)
Nishisako M, Meguro A, Nomura E, Yamane T, Takeuchi M, Ota M, Kashiwagi K, Mabuchi F, Iijima H, Kawase K, Yamamoto T, Nakamura M, Negi A, Sagara T, Nishida T, Inatani M, Tanihara H, Aihara M, Araie M, Fukuchi T, Abe H, Higashide T, Sugiyama K, Kanamoto T, Kiuchi Y, Iwase A, Chin S, Ohno S, Inoko H, Mizuki N.
-
Journal Title
Ophthalmic Genet.
Volume: 37
Pages: 194-200
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-