2014 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法を用いた生体内ミトコンドリア機能の評価法の開発と視神経疾患の病態解明
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26462684
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森本 壮 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00530198)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Raman spectroscopy / Cell death / Oxidative stress / Neuroprotection |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はグルタミン酸負荷による培養網膜神経節細胞(RGC5)細胞の細胞死に至る各段階でのcytochrome c (cyt c)のラマン画像の生物学的意味の解明を目的に実験を遂行した。 本研究については以下の3項目について研究を遂行した。 a)網膜神経節細胞の不死化した細胞であるRGC5を用い、RGC5に対してグルタミン酸を負荷し細胞死を誘導させ、投与から細胞死に至るまで、経時的にラマン顕微鏡で測定し、測定したラマン波からcyt cのラマン波に基づいたラマン画像を作成し、e)ラマン信号の定量法確立のため、ラマン信号の定量方法を確立し、定量を行った。600mMの高濃度のグルタミン酸を投与前、投与30分後、60分後、90分後、120分後のそれぞれのRGC-5細胞を作製し、ラマン顕微鏡で測定したところ、Cytcのラマンシグナルの強度は低下することがわかった。定量解析を行ったところ、正常のRGC5細胞のCytcのラマンピーク750cm-1の波数の平均強度は、10.8 ±0.59 (n-28) に対し、グルタミン酸投与後30、60、90、120分のRGC5細胞のCytcのラマンピーク750cm-1の平均強度は、統計学的に有意に徐々に減少した (8.03 ± 0.59, 3.17 ± 0.1, 1.35 ± 0.1, 0.72 ± 0.12)。細胞死の進行過程で、細胞の変性に伴ってシグナル強度が低下していることからCytcのシグナルによって細胞死の進行段階を示唆すると考えられた。 次に、b)ラマン画像が何を示すのか解明するため、ミトコンドリアをMitotrackerを用いて染色し、ラマン画像と対比させた。 その結果、ラマンによるCytcの画像は、Mitotrackeを用いて染色した画像と似ていた。このことから、ラマンのCytc画像はミトコンドリアの分布と一致し、ミトコンドリアの細胞内の動態を示すと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画 ① グルタミン酸負荷による培養網膜神経節細胞(RGC5)細胞の細胞死に至る各段階でのcytochrome c (cyt c)のラマン画像の生物学的意味の解明。 上記研究計画については、a-eの5項目の研究を設定し、そのうちa,b,eについては遂行し、c,dの項目についても着手し、実験結果は得られている。 ② 細胞死に至る過程でのラマンシフト波形の全体的な変化を解析し、ラマンシフト全体での生物学的意味の解明 上記についても独立成分分析の手法を導入し、解析法の目処はついた。
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Strategy for Future Research Activity |
① グルタミン酸負荷による培養網膜神経節細胞(RGC5)細胞の細胞死に至る各段階でのcytochrome c (cyt c)のラマン画像の生物学的意味の解明。 平成26年度の研究課題であり、ほぼ進展しているが、ラマン顕微鏡で蛍光標識物の測定が可能になったため蛍光色素であるCFPでcytochrome cをラベルした培養細胞を作製しさらなる解明を目指していく。 平成27年度以降の課題である、③ ラマン分光法を用いた画像診断の臨床応用に着手する。 今年度は、その前段階としてレーベル病の培養細胞モデルとして、ミトコンドリアの電子伝達系のcomplex1を抑制するロテノンを投与した培養細胞で、どのような画像が得れれるかをまず調べ病的な状態の画像を確立する。
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Causes of Carryover |
本実験に必要な試薬などの合計額が残高21726円を上回ったため次年度予算に加えてより有効に使用するために21726円を残しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に試薬購入の一部に充当する。
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