2014 Fiscal Year Research-status Report
再生医療による眼表面粘膜バリアーの再構築と重症瘢痕性疾患への応用
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26462695
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
稲富 勉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00305583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆宏 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (30411078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 粘膜上皮 / 杯細胞 / 口腔粘膜上皮 / 鼻腔粘膜上皮 / 眼表面上皮 / 眼表面再建 / 瘢痕性角結膜疾患 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
角結膜上皮が疲弊する難治性眼表面疾患では角膜上皮幹細胞疲弊と結膜上皮の分化異常および瘢痕化形成が生じる。再生医療を用いた眼表面再建では幹細胞上皮の移植と同時に涙液を含む眼表面の粘膜として生物環境を再建する必要がある。特に上皮や杯細胞分化誘導の解明と誘導は新規の治療開発につながる重要な課題である。すでに開発した角膜上皮および口腔粘膜上皮由来の培養上皮シート作成方法を継続し、さらに眼表面上皮と類似性が高く、杯細胞分化能を有する鼻腔粘膜上皮・気道粘膜上皮への応用と生物学的な粘膜特性関して検討してきた。杯細胞誘導の培養系は、3T3線維芽細胞との共培養、air-liftingによる分化誘導に加え、増殖・分化誘導因子としてKGFやIL-13などの増殖因子を添加することや組織適合した上皮酵素処理が重要であることを見出し、口腔粘膜の分化誘導と鼻腔粘膜からの杯細胞の分化誘導法を確立できた。粘膜上皮の生物学的特性は口腔粘膜上皮ではK3+/K12-/MUC16-/MUC1+と角膜や結膜上皮とは異なり、またオリジナルの口腔粘膜とも異なる遺伝子誘導が生じる。鼻腔粘膜上皮培養では杯細胞が誘導され、発現ムチンは結膜杯細胞と同様の分泌型ムチンMUC5acが発現する。さらに膜型ムチン(1,4,16)ともに発現し、口腔粘膜上皮とは異なり、より結膜上皮に類似したパターンが観察された。しかし眼表面環境においても固有のK3+/K12-/MUC16-/MUC1+の表現型以上にはtransdifferentiationしない。増殖細胞マーカーとしては口腔粘膜上皮と同様にp75の発現が重要であり、細胞増殖能や幹細胞としての因子として共通性を見出すことができているが、角膜上皮幹細胞とは異なる上皮増殖系が存在している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
粘膜上皮の安定した培養系と基本的な粘膜特性および形態解析が可能となったが、広範囲での遺伝子発現パターン解析および杯細胞誘導過程での変化についての比較検討には至っていない。さらに分化誘導因子についての検索や再構築された粘膜バリアーの機能的に行っていく解析系の確立に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに眼表面上皮、口腔粘膜上皮、鼻腔粘膜上皮との広範囲の視点からの比較検討を行っていくことで眼表面特異的な粘膜バリアの解明や疾患との関連性を検討する。再生医療への応用を踏まえた各粘膜特性や培養方法を検討し、異所性に生着した口腔粘膜や鼻腔粘膜上皮の表現型変化や再生してくる粘膜バリアーの再構築を解析する。上皮特性の決定遺伝子との関連性やK12などの角膜上皮特性の誘導、上皮型ムチンであるMUC16の発現量変化について検索を行う。
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Research Products
(2 results)