2014 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティックス制御によるマウス網膜再生能の獲得の試み
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26462699
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
須藤 則広 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80646216)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 網膜 / 再生 / 発生 / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではエピジェネティクス制御による哺乳動物網膜のミュラー細胞の再生能獲得を目指しており、初年度は発生期マウス網膜におけるエピジェネティック因子の発現をin situ hybridizationにより解析を行った。現在までに25個のヒストン脱メチル化因子と3つのヒストンメチル化因子の配列をクローニングし順次解析を行っている。その結果、胎生初期にヒストン脱メチル化因子KDM1A、1B、2A,2B、3A、3B、4A~D、5A~D、6A、6B、7A~C、NO66およびヒストンメチル化因子G9a、SETDB、SUV39H1がそれぞれ程度差は見られるが広く網膜前駆細胞で発現していることが明らかとなった。また、網膜発生初期におけるヒストンメチル化修飾(H3K4me3、H3K9me3、H3K27me3、H3K36me3、H4K20me3)を特異抗体を用いて調べたところ、特に胎生12日の網膜前駆細胞から胎生14日の網膜神経細胞に分化を開始する時期にヒストン修飾が大きく変化していることを突き止めた。これらの結果から網膜神経細胞の分化を開始するときにエピジェネティック修飾が大きくかかわっていることが示唆された。さらにこれらの変化がどのヒストン修飾因子に起因するのか今後検討を行う予定である。続いてCreERT2-loxPシステムを用いて、タモキシフェン投与により任意の時期に視細胞変性を誘導するマウスモデルを作製を行った。現在までに生後9日のマウスにタモキシフェンを2回投与し、6日目に視細胞がほぼ完全に消失することを確認した。今後さらにタモキシフェン投与と視細胞変性のタイミングを検討し、このマウスを用いて発生期マウスに視細胞変性を誘導し、網膜前駆細胞および未成熟なミュラー細胞が視細胞を再生し得るか否かを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画は発生期マウス網膜におけるエピジェネティック因子の発現のin situ hybridizationによる解析およびCreERT2-loxPシステムを用いた時期特異的視細胞変性マウスを用いた再生時期の検討である。in situ hybridizationにおいては必要とするプローブ配列はほとんどクローニング済みであり、精力的に解析を進めている。これまでの結果から多くの脱メチル化因子が胎生期初期マウス網膜おいて発現していることが明らかになっており、概ね予定通りの結果が得られている。ただ一部センス配列でも染まる因子もあり、非特異的染色であるかどうか慎重に解析を行っている。また時期特異的視細胞変性マウスによる再生可能時期の検討についてはタモキシフェン投与後、視細胞変性が確認されており概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
in situ hybridizationにおける一部センス配列での染色に対しては別配列を用いて解析を行う予定である。また、これの研究に加え当初の予定には無かったが発生期網膜におけるヒストン修飾の変化の解析も加えることとした。理由はこれまでの解析結果から非常に多くのヒストン修飾因子が発現していることが明らかとなり、解析対象を絞り込む際の大きな指標となり得るからである。 上記の解析終了後、当初の計画通り、網膜前駆細胞およびミュラー細胞の増殖と視細胞再生に関わる転写因子およびエピジェネティック因子の探索を行う。視細胞変性後の遺伝子発現変動をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析し、類似した変動傾向を示すエピジェネティック因子と転写因子の組み合わせを抽出する。また変動した遺伝子群について、Real-time PCRおよびin situ hybridizationによる検証を加える。
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Causes of Carryover |
注文後、納品に時間がかかっている為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
納品後、速やかに支払う予定。
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Research Products
(3 results)