2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞系譜解析を用いた角膜上皮幹細胞の恒常性維持機構の解明
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26462702
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
中村 隆宏 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (30411078)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 角膜上皮 / 上皮幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に、生体の各臓器・組織には組織特異的な幹細胞が存在し、その修復・再生に重要な役割を担うと考えられている。これまでの細胞生物学的な基礎研究から、角膜上皮幹細胞は角膜周辺部に位置する角膜輪部の基底層に存在すると考えられている。しかし、角膜上皮幹細胞の細胞動態や維持機構に関しては不明な点が多く、今後、組織幹細胞を用いた角膜再生医療の発展を考える上では、その分子レベルにおける細胞動態の理解が必須である。そこで本研究では、組織幹細胞を用いた角膜再生医療の臨床基盤技術開発を念頭に、角膜上皮幹細胞の恒常性維持機構を分子レベルで解明することを主目的とした。具体的な本年度の研究実績としては、我々が昨年角膜上皮幹細胞マーカーとして報告したLrig1に焦点を当てて(Journal of Clinical investigation 2014)、薬剤誘導性に生体内で蛍光標識可能なLrig1遺伝子ノックインマウスの作成を試みた。その結果、Lrig1-EGFP-IRES-CreERTマウスと Rosa26-LSL-tdTomatoマウスの交配後、genotypingにより目的とする遺伝子改変マウスの創出に成功した。また、本マウスが薬剤誘導性にLrig1(+)細胞が観察されるかをタモキシフェン誘導後、経時的に眼表面を観察した。その結果、Lrig(+)細胞が時間経過とともに出現し、その細胞動態が観察可能であることがわかった。また、その発現パターンは、眼表面に散在性に出現した後、中心部へ向けて移動する傾向が観察された。以上、今年度の結果より、Lrig1を指標とした最新の細胞系譜解析が可能な遺伝子改変マウスを創出し、細胞動態の解明が可能となった。またその細胞動態分布から、Lrig1は角膜における恒常性維持機構に重要な役割を担っている事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の予定通り、我々が報告した角膜上皮幹細胞マーカー候補であるLrig1に注目し、細胞系譜解析が可能なLrig1-EGFP-IRES-CreERT/Rosa26-LSL-tdTomatoマウスの創出ならびに細胞動態解析を行った。以上より、現在までの研究の達成度としては、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Lrig1が角膜の細胞動態、恒常性維持機構に重要な役割を担っている事が明らかとなった。そこで今後は、創出した遺伝子改変マウスを用いて、in vitro機能解析モデル、創傷誘導モデルを用いた角膜における組織学的、細胞生物学的考察を加えて、Lrig1の角膜における恒常性維持機構の分子レベルにおける機能解析を行う。
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