2014 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒におけるIL-17の役割と産生制御機構の解明及び慢性創傷における意義
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26462723
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 睦 東北大学, 大学病院, 助教 (30333800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
館 正弘 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50312004)
川上 和義 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10253973)
菅野 恵美 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10431595)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 創傷治癒学 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
Interleukin (IL)-17は好中球性の炎症を誘導する炎症性サイトカインであり、細菌・真菌感染防御に寄与するとともに様々な自己免疫疾患への関与も明らかになってきているが、創傷治癒への影響については詳細は明らかではない。 平成26年度は野生型マウスとIL-17A遺伝子欠損マウスを用い、IL-17Aの急性創傷治癒過程に与える影響について解析した。野生型マウスとくらべIL-17A遺伝子欠損マウスでは、創作成後3日目と5日目において創閉鎖率が有意に高く、IL-17A欠損により創治癒が促進することを認めた。また創部白血球集積を野生型マウス群とIL-17A遺伝子欠損マウス群で解析したところ、IL-17A遺伝子欠損マウス群において創部白血球および創部好中球の集積は野生型マウス群と比べ有意に低下していた。さらに、IL-17A遺伝子欠損マウスにおいて、好中球集積に関与するケモカインであるCXCL1のmRNA発現の低下およびコラーゲン合成の促進を認めた。また、免疫組織化学染色にて解析したところ、IL-17A遺伝子欠損マウス群において、野生型マウス群と比べ、創部における筋線維芽細胞の分化が亢進していることを明らかにした。 次年度は野生型マウスにrecombinant IL-17Aを投与し解析し、IL-17Aの創傷治癒に与える影響をより明確にするとともに、急性創傷におけるIL-17Aの発現動態および産生細胞の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに実験・解析を行い、学会発表を行うとともに、得られた結果の一部を論文として投稿予定であるため、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-17Aを欠損させると創部に好中球集積が抑えられ創治癒が促進することが今年度の研究にて明らかになった。今後は逆にIL-17Aを投与することにより好中球集積が亢進し創治癒が遅延するか、またその詳細な機序について、好中球エラスターゼ阻害剤を投与し治癒が回復するかを解析するとともに、免疫組織化学染色にてIL-17Aの発現動態と産生細胞を解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額には、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度請求額とあわせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)