2015 Fiscal Year Research-status Report
骨形成能を有する生体吸収性マグネシウム合金の可能性-骨代謝に与える影響の検討-
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26462724
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 啓道 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 良央 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30302152)
向井 敏司 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40254429)
山本 玲子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (20343882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 形成外科学 / 再建外科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎顔面領域の骨固定材として、現在流通しているチタンと吸収性高分子性材料の双方の欠点をカバーする第3の素材としてマグネシウム合金が注目されている。マグネシウム合金は吸収性の他に、骨形成を促進する可能性があるとされている。現在国内外で心血管ステントやクリップ、骨接合材などの分野で研究が進められている。本研究では、マグネシウム合金の生体内分解挙動と、合金周囲組織の反応の病理組織学的観察に加え、骨形成能に関して重点的な検討を行い、将来的に吸収性金属製プレートに骨形成能を持たせることを目標としている。平成27年は、平成26年度に引き続き、In vivoにおける埋入部位の特性によるマグネシウム合金の分解挙動の差を検討した。分解挙動に影響する因子として、合金周囲に形成された腐食生成物の量及び分布、周囲の組織学的反応の違いについて検討した。その結果、脂肪組織と筋肉組織及び骨膜下の間で分解速度が異なり、その差が組織学的にはマグネシウム合金周囲の被膜形成の差と関連していることが明らかとなった。被膜の厚さが部位により異なり、骨膜下では著明な被膜増生を認めた。腐食生成物の組成についてEDX分析を行ったところ、カルシウムやリンなど、マグネシウム合金組成元素以外の元素の蓄積を認めた。しかし部位による違いを認めず、腐食生成物の被覆による分解速度の抑制作用は低いものと考えられた。また、ある組成のマグネシウム合金においては、骨膜下に埋入した場合にその下床の骨への著明な骨新生が確認された。今後は部位ごとの形成される被膜の構成細胞の違いについて、免疫染色を用いた検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに実験・解析を行い、得られた結果の一部を英文雑誌であるBiomedical Materialsに投稿、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
骨形成が増加するメカニズムを解明するために、生体へのマグネシウム合金埋入後の骨代謝マーカーの変化について計測を予定している。また分解速度の差をもたらす組織学的な変化について、免疫染色を用いた検討を予定している。
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Causes of Carryover |
効率的に研究を行うことが出来たため、必要経費を予定より抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成28年度請求額とあわせ、平成28年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)