2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性皮膚潰瘍の発生予防-皮膚バリア機能破綻機序の解明と新規治療法の開発
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26462730
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
岡野 純子 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (50447968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 秀人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00225434)
森本 尚樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40378641)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 皮膚難治潰瘍 / 糖尿病 / 骨髄細胞 / モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
「高血糖に暴露された皮膚は、組織的および機能的変化をおこし、それが糖尿病難治性潰瘍における病態基盤となっている」という仮説を検証するために、糖尿病モデルマウスを用いて、創負荷のない皮膚の解析を行った。 糖尿病マウスの皮膚バリア機能を経皮水分蒸散量、色素浸透試験にて調べたところ、前者はテープストリッピングで角層を除去すると糖尿病マウスでは正常マウスと比較して、有意に高い水分蒸散量が見られた。後者では糖尿病マウスでは角層に色素の浸透を認めた。 組織学的解析では、糖尿病では菲薄化した表皮層および脆弱な角化層が観察された。表皮では有意に細胞増殖の低下が見られ、角化層から抽出した糖尿病マウスのcornified envelopeは、正常マウスと比べ機械的刺激に弱かった。 また、基底層に発現するケラチン14, ケラチン5の低下が見られた。 今回の解析は、高血糖が主病態である1型糖尿病マウスを用いた。このマウスは、ストレプトゾトシンを用いて膵臓のb細胞を破壊する薬剤誘発型であるため、ストレプトゾトシンの毒性による皮膚表現型を解析している可能性がある。これを検証するため、ストレプトゾトシンで糖尿病を誘発後、インスリン治療を行って血糖を正常化したマウスを同時に解析したところ、正常と同じバリア機能および組織像を示した。したがって、我々が見出した糖尿病マウスの創負荷のない状態での皮膚異常は、高血糖によることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮の構成のほとんどを占める表皮細胞における高血糖の影響を解析することができた。現在は、表皮の他の構成成分における高血糖の影響を解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮を構成するマイナー細胞における高血糖の影響を探究する。
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Causes of Carryover |
高血糖が表皮細胞に及ぼすメカニズムは解明できたが、そのほかの少数であるが表皮を構成する細胞(例:delta gammma T細胞やランゲルハンス細胞)に対する解析が未だ進行中であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き糖尿病マウスを作成し、表皮に存在する表皮細胞以外の細胞の高血糖に対する変化を解析していく。
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