2014 Fiscal Year Research-status Report
整数心拍数・呼吸数変動の非線形解析によるICU入室患者の重症度と転帰の判定
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26462749
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
遠藤 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90168831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 正和 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (90375791)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 複雑性 / 生体モニター / 呼吸数 / 心拍数 / APACHE II / SOFA / 近似エントロピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は集中治療部(ICU)に72 時間以上滞在した成人を対象とし,生体モニタに記録保存された心拍,呼吸,血圧のバイタルサインの整数データのトレンド(時系列)に対して,非線形解析を行い,集中治療部で日常的に評価されている各種の重症度スコアや転帰と複雑性指標との関連を解析することである。 H26年度は,敗血症で入室した成人41名(平均65±16歳)を対象とし,生体モニタに保存された整数呼吸数(integerRR:iRR)と整数心拍数(iHR)について解析した。但し,調節人工呼吸管理中の患者は除外した。対象例のICU入室日数は平均13±10日,4名がICU入室中に死亡した。複雑性の指標として近似エントロピー(ApEn)を算出した。ICU入室最初の24時間及び全入室期間中のiRRとiHRのApEnと一般的な入室時の重症度の指標であるAPACHEIIスコア,日々の重症度の指標であるSOFAスコアとの相関について検討した。その結果,全入室期間中のRRi及びHRiのApEnとAPACHEIIスコア間に,それぞれ-0.4,-3.4の有意な相関(p<0.05)を認めた。更に,RRi及びHRiのApEnと最大及び平均SOFAスコア間についても,それぞれ-0.54,-0.54,及び-0.32,-0.32の有意な相関(p<0.05)を認めた。一方,ICU入室最初の24時間のiRRとiHRについては,APACHEII及びSOFAスコア間に有意な相関を認めなかった。また,ICU生存例(37例)と死亡例(4例)における比較では,全入室期間中のRRiとHRiのApEnは,それぞれ1.78±0.30 vs 1.27±0.33, 0.83±0.42 vs 0.44±0.21,いずれも有意(p<0.05)な違いを認めた。 一般的にApEnの低下は複雑性の低下を意味しており,iRR及びiHRのApEnとAPACHEII及びSOFAスコア間の有意な負の相関,更に,死亡例におけるiRR及びiHRのApEnの有意な低値はいずれも複雑性の低下がより重症度が高い病態を示唆していると解釈され,予想通りの結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の結果は,整数呼吸数及び心拍数の近似エントロピーの低下はより重症な病態を示唆するという当初の仮説が,ICUに入室した重症敗血症患者において確かめられたと考えられる。一方,対象患者数が41例と少ないこと,更に,整数心拍数に比して,整数呼吸数の近似エントロピーがより重症度を反映する結果となっており,重症患者では人工呼吸管理になる場合が多い等の影響も無視出来ない。 以上より,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
人工呼吸管理の有無に分けて検討すること,敗血症患者の対象数を増やすこと,更に, 敗血症以外の疾患として,多発外傷,心臓血管,術後患者等について検討する予定である。また,近似エントロピー以外の複雑性の指標であるMultiscale entropy(MSE), detrended fluctuation anlysis(DFA)についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度は,複雑性の指標として近似エントロピーのみを算出したことが大きな要因である。申請者らはICU入室全期間を対象として近似エントロピーの1つの値で評価することに限界を感じており,現在,様々な時間スケールで複雑性の評価が可能な指標とされる" multifractal analysis(PhysioNet,http://www.physionet.org/)による解析を検討中である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
multifractal analysisの開発(或いはMatlab移植),及び計算速度の高速化の必要性からP新たな高性能のパーソナルコンピュータの購入についても検討中である。
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Research Products
(2 results)