2014 Fiscal Year Research-status Report
可溶性ULPB2制御による新しい敗血症治療法の開発
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26462755
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
千酌 浩樹 鳥取大学, 医学部附属病院, 教授 (90283994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 英治 鳥取大学, 医学部, 教授 (50187449)
高田 美也子 鳥取大学, 医学部, 研究員 (50523643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症 / 免疫療法 / NK細胞 / ULBP2 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は感染によって発症した全身性の炎症反応症候群であり、病原細菌に対する過剰あるいは抑制された免疫反応が死亡要因となっていることが知られている。ことに発病初期には自然免疫が関与し、その調節は有効な敗血症治療の重要な手段となると考えられる。NK細胞はこの自然免疫を調節する中心細胞であり、敗血症における機能異常が報告されているが、その機序の解明とこれを利用した敗血症治療方法の開発はいまだ行われてはいない。我々はこれまで感染時・腫瘍化等の生体ストレス時に宿主細胞上に発現する分子ULBP2に関する研究を遂行してきた。この過程でULBP2は細胞表面上にあってはNK細胞を活性化するが、可溶化すると逆に抑制することを明らかにしている。このことからULBP2可溶化を制御することによりNK細胞機能を調節する新しい敗血症治療方法を開発することを目的として本研究を行った。 平成26年度は、まず細胞表面ULBP2が可溶化される機序の解明を行った。プロテアーゼ阻害剤であるTAP-2の効果より、ULBP2を可溶化する酵素をMMP、ADAMプロテアーゼに絞り、候補プロテアーゼをULBP2強制発現細胞に共発現させることで切断酵素(ADAMプロテアーゼの一種)を特定した。つづいて、本成果を早期に臨床応用を図るため、この切断酵素発現・活性に影響を及ぼす薬剤を培養細胞系でスクリーニングした。その結果クラリスロマイシンが、本酵素の活性を低下させるという新しい知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
切断酵素を同定したことは、当初計画通りである。次に本来の計画にはなかったが、同定した酵素活性に影響を与えることができる、人体に使用可能な薬剤(クラリスロマイシン)を見出すことができたことは、本研究テーマである可溶性ULBP2制御による敗血症免疫療法の開発にむけて、きわめて有望な進歩をしたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初平成26年度に予定していたプロテアーゼによるULBP2切断点の同定を平成27年度に行うと共に、平成26年度に新たに発見したクラリスロマイシンによるプロテアーゼ活性の制御についても、基礎的検討を継続する。
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Causes of Carryover |
本年度予想外の有望な知見を得た(可溶性ULBP2を制御できる薬剤の発見)ため、当初予定していた、プロテアーゼによるULBP2切断点の同定を行うことができなかった。このために本同定にかかる費用が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プロテアーゼによるULBP2切断点の同定を平成27年度に行う。
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Research Products
(2 results)