2015 Fiscal Year Research-status Report
敗血症性多臓器不全治療に向けた基盤研究:HIF-1による組織代謝制御の解明
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26462759
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
山口 修 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (20174609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉橋 清泰 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 准教授 (50234539)
柳 大介 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 助教 (80638586)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 敗血症性多臓器不全 / 低酸素誘導性因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
LPS腹腔内投与モデルにおけるHIF-1αタンパクの定量を行った前年度の結果を踏まえて,LPS腹腔内投与モデルよりもより臨床上の敗血症に近いと考えられる盲腸結紮穿刺(Cecal ligation and puncture: CLP)モデルを作成し,各臓器における低酸素誘導性因子(HIF)-1の挙動を調べた. 8-10週齢のC57BL6Jマウスに対してケタミン,キシラジン投与による全身麻酔下に,開腹を行い,盲腸を3-0絹糸で結紮,23ゲージ針で穿刺,腹腔内に戻して閉腹した.CLPモデル作成後,6時間,24時間後にマウスを全身麻酔下に脱血,安楽死させ,心臓,肺,肝臓,腎臓を摘出し液体窒素中に保存した.保存した検体からホモジネートを作成し,ELISA法にてHIF-1αタンパク濃度を測定,全タンパク量でノーマライズを行った.肝臓において軽度のHIF-1αの増加を認めたが,心臓,肺,肝臓,腎臓いずれの臓器においてもHIF-1αの有意な変化は見られなかった.また,昨年度採取したLPS腹腔内投与モデルにおける腎臓のHIF-1αタンパクについても定量をおこなったが,肺や肝臓においてLPS投与6時間後に明らかな増加が見られたのとは対照的に,6時間後,24時間後共に有意な変化が見られなかった. 以上から,敗血症モデル,時間経過,さらに臓器毎にHIF-1αの増加が見られるタイミングが異なることが明らかになってきた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度,敗血症患者からの筋生検が困難と判断し,動物モデルを用いた検討に切り替えた.動物モデルおよびその評価法の確立に時間を要しており,進行がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
動物モデル及びその評価を確立されたものとする.具体的には明らかな臓器障害を伴うモデルを作成するために,抗菌薬や輸液による蘇生を伴う敗血症モデルを確立し,各臓器不全と予後についての評価システムを確立する.その上で,HIFの挙動と臓器不全,予後の関係性を明らかにするとともに,PHD阻害もしくはPHDノックアウトマウスを用いてHIF経路への介入が敗血症治療に繋がる可能性について検討を行う. また,この動物モデルを用いて臓器不全マーカーを確立し,敗血症患者での測定を行いたいと考えている.
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Causes of Carryover |
動物モデルの構築に時間を要しており,その解析,介入実験等がまだ行えていないため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後,敗血症モデル動物が確立した時点で,臓器障害評価,低酸素誘導性因子経路の解析を行うとともに,プロリルヒドロキシラーゼ阻害による介入が敗血症治療につながるのか検討を行う.その際の動物購入費,試薬類の購入に充てる.
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