2015 Fiscal Year Research-status Report
オピオイドはTLR4を介して急性肺障害を増悪させるか?
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26462760
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松山 広樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (80515289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 文昌 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60347466)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人工呼吸関連肺損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸窮迫症候群(Acute respiratory distress syndrome: ARDS)は免疫反応の活性化により肺組織が炎症におちいり、結果として組織が損傷され肺機能が不全となる病態である。ARDS患者において人工呼吸療法は救命のため必須の治療法であるが、その一方で不適切な人工呼吸は肺損傷を悪化させることが知られている。人工呼吸中には患者の苦痛緩和のためオピオイドが投与されることが多い。オピオイドは神経系においてグリア細胞を活性化して神経炎症を惹起し、急性耐性の形成に関わると言われている。本研究は人工呼吸中に投与されたオピオイドが肺組織の炎症細胞を刺激して免疫反応を増強させ、人工呼吸関連肺損傷を増悪させる可能性を検証することを目的とする。 昨年度にはラット肺組織を採取し、免疫組織化学法によりオピオイド受容体を持つ肺内の細胞を同定する実験を行った。これをふまえ、本年度には侵襲的人工呼吸モデルを作成、肺組織を採取してオピオイド受容体の発現に変化を認めるかについて免疫組織化学法を用いて検証を行った。侵襲的人工呼吸モデルの作成に難渋し、また、免疫組織化学法の結果が安定しないため発現変化を定量的に検討するには至っていない。また、研究に対するエフォートが当初の予定より少なくならざるをえず、動物実験に加えて、人工呼吸療法中の患者におけるオピオイド投与の有無と予後の観察や文献のとりまとめなどにより研究を継続せざるを得なかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
侵襲的人工呼吸モデルの作成と免疫組織化学法によるオピオイド受容体発現の結果の安定化が不十分であり、人工呼吸時の肺損傷とオピオイド受容体発現の変化について定量的評価に至っていない。本年度については、本研究に対するエフォート分割を予定よりも減じざるをえない状況となり、動物実験とともに、人工呼吸患者の観察などで研究を継続せざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はエフォート分割に改善が見込まれる。侵襲的人工呼吸モデルを完成させ、オピオイドの投与を行いつつ肺における酸素化の程度や肺組織の乾湿重量比などを評価し、肺損傷に対するオピオイド投与の影響を検討する。また、オピオイド拮抗薬ナロキソンの肺保護効果の有無についても侵襲的人工呼吸モデルを応用して検証する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究費は侵襲的人工呼吸モデルの作成とオピオイド受容体の免疫組織化学的、分子生物学的解析に用いる予定であったが、実験の進捗が不十分であったため研究を次年度に繰り越すよう計画に変更を行った。これに伴い、研究費使用予定額も次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金と次年度配分研究費を合算し、侵襲的人工呼吸時における肺損傷にオピオイド作動薬が与える影響について検証を行うとともに、前年度に予定していたオピオイド受容体発現の解析を継続して行うこととする。
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Research Products
(2 results)