2016 Fiscal Year Research-status Report
脳蘇生におけるアミオダロンの脳保護効果に関する研究
Project/Area Number |
26462763
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 蘇生 / アミオダロン / 高次機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は脳虚血に対するアミオダロンの効果を見るものである。全脳虚血は、心停 止時に脳に生じる虚血である。心停止の原因のひとつに心室細動があり電気的除細動に応 じない場合はアミオダロンの投与が推奨されている。アミオダロンの投与が心肺蘇生に効果があるだけでなく脳蘇生にも効果があれば、心肺蘇生時に心室細動の予防と脳保護の両方の目的で常時推奨されることになる。心肺蘇生後の問題点だった蘇生後脳障害という問題点に対しアミノダロンを検討することは意義深いと考えられる。さて、当該年度であるがラット脳虚血モデルの至適虚血時間の確立とモリス水迷路実験系を確立することができた。約70-80%の海馬CA1細胞の神経細胞死を与える虚血時間は約9分であることが判明した。モリス水迷路は虚血後に行うにはかなりラットの体力的に厳しい状態であることが分かり問題点であったが、水迷路検査後ラットの体毛を乾燥させることで体温維持が可能となることが分かり生存率を高め実験を遂行できるラットが多くなった。ここまで実験系を確立するのにかなりの時間を要したが次年度以降には実験結果が得られると期待している。また、アミオダロンに脳保護効果があるならば予防的投与も考慮しなくてはならない。心筋梗塞再還流時には心室細動が効率に生じ難治性である場合がある。こういった可能性のあるハイリスク患者にはアミオダロンの予防的投与が心肺蘇生後の心室細動予防と脳保護に役立つ可能性がある。また脳保護の効果は虚血後投与より効果は高い可能性がある。したがって虚血前投与のアミオダロンの効果を検討する必要もあり、それを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
約70-80%の海馬CA1細胞の神経細胞死を与える虚血時間は約9分であることを決定するのに時間を要した。モリス水迷路は虚血後に行うにはかなりラットの体力的に厳しい状態であることが分かり問題点であったが、水迷路検査後ラットの体毛を乾燥させることで体温維持が可能となることが分かり生存率を高め実験を遂行できるラットが多くなった。ここまで実験系を確立するのにかなりの時間を要したが次年度以降には実験結果が得られると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は基礎的な検討がすべて出そろったので本試験に移れると考えられる。従って今年度の実験結果で論文研究発表などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験に遅れが生じているためラット購入費、薬剤購入費が少なかったためと考えられる。しかしながら実験系が昨年度中に確立したためこれらの購入費用が後半使用されるようになってきた。本年度は実験遅延分、今年度分を行うため繰越金は消費されると思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験遅延分と今年度分を今年度に行う予定である。実験系も確立したため順調に実験は進むものと考えている。
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