2017 Fiscal Year Research-status Report
脳蘇生におけるアミオダロンの脳保護効果に関する研究
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26462763
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
井上 聡己 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (50295789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 蘇生 / アミオダロン / 高次機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミオダロンは心肺蘇生時の心室細動に対する第一選択薬剤となっているが、マルチイオンチャンネル阻害剤でり虚血後脳細胞に保護的に作用する可能性がある。心肺蘇生時に積極的に使用されるべきではないかと考えられ実験を開始した。一方でアミオダロンには神経毒性の懸念もあると報告されており安全性の確認も必要であった。ラットはイソフルラン1.5-2%麻酔下で人工呼吸し処置を行った。両側総頚動脈結札+外頚静脈脱血モデルを用い、虚血負荷は平均動脈圧35mmHgで8分の虚血を行った。虚血終了後脱血血液を返血し正常血圧に回復させた。虚血終了10分時にアミオダロン0,50,100,150mg/kgを腹腔内投与した。また、虚血を行わないSham手術を行う群も設定した。各群11-12匹使用した。虚血4日後より毎日水迷路試験を行いプラットホームへの到達時間を測定し虚血7日後での到達時間の短縮率を比較した。虚血7日後にホルマリン潅流を行い、脳組織切片を作成し海馬のCA1領域を評価の対象として光学顕微鏡下に全ニューロン数と正常ニューロン数をカウントした。各群のラット個体の死亡率は9-17%であった(p=0.98)。生存細胞数はコントロール群で中央値45%であり、Sham群(78%)に比較し有意に生存率が下がり(p=0.009)、水迷路短縮率ではコントロール群は28%、Sham群は13%でSham群が有意に改善する虚血程度であった(p=0.015)。アミオダロンはいかなる投与量(50,100,150mg/kg)においても生存細胞率に有意な影響を与えなかった(58%、40%、36%: p=0.28、0.99、0.96)。また、水迷路試験短縮率にも影響を与えなかった(27%、22%、34%: p=0.77、0.90、0.86)。アミオダロンはラット全前脳虚血後の神経細胞生存率および高次機能に影響を与えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説ではアミオダロンは脳虚血障害を改善させることであったが、実験途中で逆に悪化させる懸念も出てきた。また、当初実験が安定しなく、改善させるのか悪化させるのか傾向も不安定であった。実験の精度を高めるため改善を行い、慎重に実験を行った。結局、悪化も改善も有意な状態には至らなくアミオダロンはラット全前脳虚血後の神経細胞生存率および高次機能に影響を与えないという結論に至りそうである。上記のことを再度実験を振り返り検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく有意な結果が得られなかったことが事実であるか検討中である。しかしながら臨床でのアミオダロンの投与目的が致死的心室性不整脈に対して使用するものであり、中枢神経系に影響を与えないという情報は現在の臨床使用に関し何らかも影響を与えなく、日常プラクティスの変更を要しないという情報は有益と考えられる。実験の正当性の検証が終了すれば実験は完結の予定である。
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Causes of Carryover |
前にも期したが研究実験の妥当性を検討することと、科学雑誌への投稿が未施行なのでそれを実行するために次年度使用額が生じた。
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