2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞分化コントロールによる新たな骨疾患治療法開発を目指す基礎研究
Project/Area Number |
26462817
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (10303629)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 智和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 准教授 (30244247)
柿元 協子 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (40274849)
坂東 健二郎 明海大学, 歯学部, 講師 (50347093)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 口腔生化学 / 細胞内シグナル伝達 / 細胞分化 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / サイトカイン / ケモカイン / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究申請は、申請者らの以前の研究成果に基づいて提唱している「骨芽細胞の多様性分化」という新しい概念について検証するために、その細胞内分子機構について解析を行うとともに、骨芽細胞分化方向の調節異常が慢性骨代謝疾患の病態形成に関わることを示唆する実験的証拠を得るとともに、将来的な新規骨疾患治療法開発の可能性を探ることである。 平成27年度に行った研究実績は以下の通りである。①低出力超音波によるメカニカルストレス刺激が、間葉系幹細胞の多分化能の維持に有効で、その後の骨芽細胞への分化誘導に有効に働くことを示した。②細胞内シグナル伝達分子であるJNKの構成的活性が、転写因子であるC/EBPdeltaの発現を介して、間葉系幹細胞から骨芽細胞/脂肪細胞への分化方向の調節に重要な役割を果たすことを示した。③骨芽細胞が圧刺激依存性にケモカインを発現する分子機構について解析し、ケモカイン発現能が骨芽細胞からのIL-1の恒常的発現を必要とすること、またそれが自然免疫系シグナル経路であるMyD88分子依存性であることを示した。④間葉系幹細胞からの骨芽細胞/脂肪細胞への分化方向の調節に、ケモカインの1種であるCXCL3が重要な働きを持ち、脂肪細胞への分化に促進的に働くことを示した。 ⑤骨芽細胞分化中期に発現が上昇するオステオポンチンの働きに注目し、後期分化マーカーであるオステオカルシンの発現に抑制的に働くことを見いだした。これはオステオポンチンが骨芽細胞の多様性分化の調節因子である可能性を示唆しており、現在その分子機構について解析中である。⑥骨芽細胞分化促進因子であるBMPタンパクに注目し、BMPメンバー間の骨芽細胞分化誘導機構の差異について解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①骨芽細胞と類似点の多い軟骨細胞の分化機構を解析し、細胞ないエネルギーセンサーとして知られるAMPキナーゼの機能的役割を明らかにし、国際学術誌に報告した。 ②骨芽細胞の圧刺激依存性のケモカイン発現能に自然免疫系シグナル経路であるMyD88分子依存性であることを初めて示し、国際学術誌に報告した。またこの内容はH27年度の日本矯正歯科学会大会で学会賞を受賞した。 ③骨芽細胞分化中期に発現が上昇するオステオポンチンの働きに注目し、オステオポンチンが骨芽細胞の多様性分化の調節因子である可能性を示唆する所見を得た。現在その分子機構について解析中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
①骨芽細胞の多様性分化の調節因子としてのオステオポンチンの機能について解析を継続し、その分子機構を解明するとともに、慢性骨疾患の新規治療法の開発に繋がる研究を行う。 ②骨芽細胞の分化因子であるBMPメンバーの分化誘導機構の差異についての研究を継続し、骨芽細胞の多様性分化の調節因子としての可能性を検討する。 ③JNKのキナーゼ活性と骨芽細胞分化能の関係についての研究を継続し、JNK活性調節による骨芽細胞機能への影響を解析する。
|
Research Products
(7 results)