2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26462819
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (40316154)
人見 涼露 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70548924)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 二日酔い / 喉の渇き / エタノール / アセトアルデヒド / アンジオテンシンⅡ / 口渇中枢 / 脳弓下器官 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛飲後に起こる喉の渇きは、一般的にエタノールがバゾプレッシンを抑制することによって起こる「アルコール利尿」が原因であると考えられている。一方で、高濃度のアルコールにより抗利尿が起こることが報告されており、このメカニズムは明らかではない。本研究では、エタノールの代謝産物であるアセトアルデヒドが喉の渇きの原因物質ではないかという仮説を証明することを目的とした。 実験には、ウイスター系雄性ラットを用いた。水と0.3M食塩水を入れた瓶による二瓶選択法を用いて、エタノール単独、あるいはアルデヒド脱水素酵素阻害剤のシアナミドとの併用による腹腔内投与後の水と食塩水摂取量を調べた。シアナミドはアセトアルデヒド投与1時間前に投与した。代謝ケージを用いて尿量を測定した。バゾプレッシン分泌細胞に対するエタノールの作用をAVP-eGFPラットを用いて調べた。麻酔下にて、血圧を測定した。断頭により採血を行い、血漿レニン活性を調べた。 エタノール腹腔内投与により、水および食塩水の摂取量が増加した。エタノールあるいはアセトアルデヒドと、シアナミドとの併用投与により、水および食塩水の摂取量が増大した。尿量はむしろ減少した。AVP-eGFPの結果より、エタノール投与後に血中バゾプレッシン濃度は増加することが示唆された。また、アセトアルデヒド投与により、血圧は低下し血漿レニン活性が増加した。アセトアルデヒドにより誘発された水および食塩水の摂取量の増加は、アンジオテンシンAT1阻害剤であるカンデサルタンの皮下および脳室内投与により減弱した。 これらのことは、痛飲後に起こる喉の渇きは、アセトアルデヒドによる血圧低下がレニン・アンジオテンシン系を活性化し、生成されたアンジオテンシンⅡが口渇中枢に作用しておこる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去の文献を充分に調べて研究を行ったことと、すでに予備実験により大まかな方向性がでていたので順調に実験は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
エタノールの代謝産物であるアセトアルデヒドがレニン・アンジオテンシン系を活性化し、生成されたアンジオテンシンⅡが口渇中枢に作用して、喉の渇きが誘発される可能性を示唆する結果を得たが、本当に中枢神経核に作用しているかどうかは不明である。その検証が必要である。
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Research Products
(5 results)