2015 Fiscal Year Research-status Report
α1-アドレナリン受容体を介した骨形成機構の分子薬理学的研究
Project/Area Number |
26462827
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平居 貴生 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (80389072)
友寄 大介 (兒玉大介) 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40549979)
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00422767)
近藤 久貴 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40469002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | α1-アドレナリン受容体 / 骨代謝 / 骨芽細胞 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では骨組織におけるα1-アドレナリン受容体シグナルの生理的役割および受容体シグナルについて解析しており、昨年はin vivoおよびin vitro実験により、骨代謝はα1-アドレナリン受容体シグナルを介して負に制御され、その機序の一部には骨形成の抑制作用に基づいている可能性が示された。本年度は、さらなる解析に加え、骨芽細胞におけるα1-アドレナリン受容体シグナルについて詳細に検討した。 骨芽細胞様細胞株MC3T3E1にα1アドレナリン受容体作動薬であるフェニレフリン処理後、マイクロアレイ解析を用いて遺伝子変動の探索を行った結果、転写因子CCAAT/enhancer binding protein delta(Cebpd)mRNAの発現量が有意に増加することを見出した。そこで、骨芽細胞におけるCebpdの機能解析を目的として、MC3T3E1細胞のCebpd安定過剰発現株を作製したところ、Cebpd安定過剰発現株では対照細胞群に比べて、BrdUの取り込み能が有意に増加することを認めた。また、選択的α1アドレナリン受容体阻害剤であるプラジゾン(0.01、0.03mg/kg/日)を14日間腹腔内投与したマウスにおける大腿骨遠位部で海綿骨量(BV/TV)の有意な減少が見られ、骨組織におけるCebpdの有意な発現低下も認められた。 これらの結果より、骨芽細胞におけるα1アドレナリン受容体シグナルによって発現するCebpdが骨量制御に関与している可能性が示唆された。今年度はこれらの知見を加えて、α1-アドレナリン受容体シグナルにより骨代謝が負に制御され、その機序の一部には骨形成の抑制作用に基づいていることを示した前年度のin vivoおよびin vitro実験の成果を論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27度の計画はおおむね順調に進展した。すなわち、前年度の研究成果に更なる解析結果を加え、α1B-アドレナリン受容体欠損マウスにおける骨代謝機能の解析および骨芽細胞におけるα1B-アドレナリン受容体シグナルの機能解析に関する論文を公表することが出来た。また、交感神経亢進時におけるα1B-アドレナリン受容体欠損マウスの骨代謝能の解析も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に記載した様に、平成28年度は前年度に引き続き、交感神経亢進時におけるα1B-アドレナリン受容体欠損マウスの骨代謝の解析を行なう。すなわち、α1B-アドレナリン受容体欠損マウスにおける交感神経亢進時(実験的歯の移動や尾部懸垂による)の骨代謝を解析し、α1B-アドレナリン受容体を介した骨形成の実体及およびシグナル伝達機構を明らかにする。
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