2014 Fiscal Year Research-status Report
ビデオレート生物発光イメージング法による骨形成関連タンパク質の分泌動態解析
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26462828
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (70298545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 光政 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (20609812)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物発光 / イメージング / タンパク質分泌 / 開口分泌 / 骨芽細胞 / ルシフェラーゼ / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
I型コラーゲン、オステオカルシンなど骨芽細胞から分泌される骨形成関連タンパク質の分泌動態とその分子機構は、ほとんど不明である。本課題では、生細胞の全細胞表面におけるタンパク質分泌動態の定量的可視化という特長を有する、独自に開発した「タンパク質分泌のビデオレート生物発光イメージング法」を駆使して、骨芽細胞のタンパク質分泌動態、分泌極性の局在、分泌量の変動を明らかにすることを目的とし、研究を進めた。 これまでに我々は、分子量最小で高い発光活性を示す分泌型ルシフェラーゼである、ガウシアルシフェラーゼ(Gaussia luciferase, GLase)をプローブとしており、本研究においてもGLaseを用いた解析を行った。GLase融合型オステオカルシン、BMP-2、I型コラーゲンおよびMMP-2を骨芽細胞株に発現させたところ、開口分泌動態をビデオレート生物発光イメージング法で可視化することができた。 近年、オプロフォーラスルシフェラーゼ(Oplophrus luciferase)の変異体(nanoKAZ, nanoLuc)が高い発光活性を示す分泌型ルシフェラーゼとして注目されており、新規プローブ候補として解析を行った。その結果、nanoKAZはビデオレート生物発光イメージングにより可視化することが可能であった。しかしながら、nanoKAZは細胞透過性の高い基質h-セレンテラジンで高い発光を示したことから、nanoKAZと比較して、GLase(酵素)とセレンテラジン(基質)の組み合わせが分泌タンパク質のイメージングに有用であると考えられた。 また、ヒトで最も使用頻度の高いコドンのみで最適化する方法(preferred human codon optimized method)により、各種ルシフェラーゼを高発現できることを示し、今後のイメージング実験への応用が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オステオカルシン、BMP-2、I型コラーゲンおよびMMP-2について、骨芽細胞株において開口分泌動態をすべて可視化できている。その一方で、レポーターとしてのルシフェラーゼ融合タンパク質の発光活性を増大させて、ビデオイメージングの時空間分解能を向上させることが望まれた。そこで、新規ルシフェラーゼnanoKAZの解析と、ルシフェラーゼ遺伝子のほ乳類細胞発現におけるコドン最適化についての研究を行い、2報の学術論文発表を行うことができた。特に、我々が今回報告した、ヒトで最も使用頻度の高いコドンのみを使用するシンプルなコドン最適化の方法である"preferred human codon-optimized method"は、本研究課題の遂行に有益であるだけでなく、タンパク質の効率的な発現を行う方法として広く応用されることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において我々が報告した、シンプルなコドン最適化法である"preferred human codon-optimized method"によって、哺乳類細胞での遺伝子発現に最適化したGaussia lucifease 遺伝子である"pGLuc"は、骨芽細胞株でも高い発現効率を示すことが期待される。今後は、pGLucを用いて各種骨形成関連分泌タンパク質のレポーター遺伝子を作り出し、より鮮明な生物発光ビデオイメージング像の取得を試みる。このとき、骨形成関連分泌タンパク質遺伝子についても"preferred human codon-optimized method"によって、レアコドンを最も使用頻度の高いコドンに置換したコドン最適化を行い、pGLucと組み合わせて、より発現量を高めることを試みる。
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Causes of Carryover |
研究を進める中、ビデオレート生物発光イメージング法で最も重要となる、ルシフェラーゼレポーター遺伝子について、新たなアイディアを得て解析を行い、論文発表を行ったことから、比較的高額となる、細胞培養関連の支出が抑制された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養、生細胞イメージング用の消耗品の購入に、有効に利用する。特に、細胞シート培養、3D培養、特殊コーティングのガラスボトムディッシュなど、本研究において重要となる、比較的高額な細胞培養実験に使用することで、解析内容を充実させる。また、GLase融合骨形成関連分泌タンパク質の性状、細胞内局在を解析する実験に向けて、抗体の購入などに使用する。
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