2015 Fiscal Year Research-status Report
拡散テンソルMRIの歯科臨床への応用:下歯槽神経と咀嚼筋の新しい画像診断法の開発
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26462833
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
倉林 亨 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60178093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 潤一郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40506896)
中村 伸 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70323699)
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90187732)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRI / 画像診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
拡散テンソルMRI (Diffusion Tensor Imaging, DTI)は、生体内に存在する水分子の拡散異方性を解析する機能的MRIの手法である。DTIはこれまで主に中枢神経領域の診断や研究に利用されてきたが、最近では末梢神経の軸索の損傷をDTIのパラメーターの変化として客観的に評価できることが報告され、今後の臨床応用が期待されている。本研究は、DTIを歯科臨床に応用し、下歯槽神経の損傷や回復を評価するための新しいMRI画像診断法を開発することを目的とした。 前年度においては、下歯槽神経を対象としたDTI撮像法の最適化を行い、同神経の走行を可視化することに成功した。当該年度は更に撮像法および解析法の最適化をはかると共に、拡散異方性のパラメーターの1つであるFA値 (fractional anisotrophy)を用いて健常者における下歯槽神経の定量的評価を行い、その結果を国際学会において報告した。当該年度における主な研究成果は以下のとおりである。 1.下歯槽神経の定量的評価を行う目的で、 DTI上で同神経に関心領域 (ROI)を設定し、健常者における下歯槽神経のFA値を求めた。ROIの大きさは 6.27~6.90 [平方mm]であり、解析ソフトウェアとして MR Neuro 3D Engine (Siemens)を用いた。その結果、FA値の平均値は 0.404から0.454の範囲にあり、同値の個体差は大きくないことが示唆された。 2. DTIによる下歯槽神経可視化の信頼性を評価する目的で、3D T1強調像 (MPRAGE)との fusion imageを作成した。その結果、神経線維が良好に描出されていた49例の全例において、同線維と下顎管との位置は完全に一致していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、現在までに、DTIを用いることによって下歯槽神経の可視化およびFA値を用いた定量的評価が可能であることを明らかにし、これらの成果を国際学会等において報告することができた。したがって当該年度までの目標はおおむね達成されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度までの研究により、DTIによる下歯槽神経の定量化の達成に目途が立った。今後はFA値の詳細な解析を行って、その左右差や前後的位置の違いによる差などを明らかにする予定である。また研究成果について論文を執筆し、国際的な学術誌に投稿したいと考えている。
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Causes of Carryover |
おおむね経費の全額を使用したが、当初購入を予定していた解析用ソフトウェアについては、既存のソフトウェアにて代用できたため、購入が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内の関連する学会にて新たな研究成果を発表するための旅費として使用することを計画している。
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