2015 Fiscal Year Research-status Report
超音波診断画像のウェーブレット変換による画像解析とシェーグレン症候群診断への応用
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26462843
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大喜 雅文 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10160441)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / ウェーブレット変換 / コンピュータ支援診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に確立したウェーブレット変換による画像解析法をシェーグレン症候群の症例に応用し、本手法の診断支援の可能性について検討を行った。また解析法についてもさらに検討を加え、従来のウェーブレット変換から近年考案された複素ウェーブレット変換へと拡張を加えた。解析の対象としたのは、長崎大学病院で超音波検査ならびに唾液腺造影検査を受けた患者174人の耳下腺部超音波画像であり、シェーグレン症候群の診断基準で陽性とされた症例77人ならびに陰性とされた症例97人である。またシェーグレン症候群と診断された77人は唾液腺造影検査により重篤度が大きくなる順にに4段階にグレード分類されており、グレード1を25人、グレード2を28人、 グレード3を16人、グレード4 を8人含む。これらの症例の超音波画像は画像解析用コンピュータに高画質のデジタル画像として入力し、病変部を含む解析領域を設定した後、開発したウェーブレット変換による多重解像度解析を行い、病変の特徴を表している画像特徴量を求めた。次にこれらの画像特徴量と診断結果をサポートベクターマシンを用いて機械学習によって関連づけた。この結果、本手法によるシェーグレン症候群に対する診断精度について、全グレードを含めると感度は90±4.5%、特異度は89±4.2%、正確度は89±3.9%が得られた。また、グレード1と2の低グレード群においても感度は90±3.7%%、特異度は85±6.7%、正確度は88±4.2%であった。これらの診断精度は観察者による評価よりも高く、本手法がシェーグレン症候群の超音波診断に有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は順調である。本年度までに予定していたウェーブレット変換を用いた超音波画像の画像解析の手法が確立出来た。また実際の症例に応用し、本解析法の有用性を示すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で開発した画像解析を超音波検査時に診断支援として利用できるように画像解析装置を含む診断システムの構成を検討する。すなわち動画処理と組み合わせてリアルタイムでの解析ができれば、超音波診断装置の近くに設置した解析装置上で動く画像解析プログラムの結果を確認しながらの超音波検査が可能となる。このために必要なハードウェアとソフトウェアについて検討し、診断支援システムとして実用化を図る。また国内外の学会にて本研究成果を発表していく。
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Causes of Carryover |
購入価格等の変動により、端数とみなせる少額の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額ではあるが、次年度の予算に繰り込んで支出することとした。
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