2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌に対するインテグリン機能を標的とした浸潤・転移抑制療法の確立
Project/Area Number |
26462846
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 憲司 大分大学, 医学部, 教授 (50214664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 俊一 大分大学, 医学部, 客員研究員 (20599659)
高橋 喜浩 大分大学, 医学部, 講師 (60347028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 細胞接着 / カドヘリン / インテグリン / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度行った口腔扁平上皮癌細胞株SCC9、SCC25の培養条件の違い(単層細胞と浮遊培養)によるILK、Akt、GSK-3b、FAK、Src、PI3Kの発現について追試をおこなったが、あきらかな違いは見出せなかった。さらに他の口腔扁平上皮癌細胞株MOK系を用いて同様の検討を行うため、MOK系細胞株を調整している。MOK系は当科で樹立した細胞株でカドヘリン発現に顕著な差がみられ、細胞接着能に大きな差があるため、インテグリンやカドヘリンなどの細胞接着分子からの細胞内シグナル伝達の差をみるのに適している。MOK系は本研究の遂行に必須の細胞株であるが、前年度の凍結保存トラブルのため再調整をおこなっている。 MOK系の調整と並行して、ヒト口腔扁平上皮癌組織の浸潤先端におけるHIF1aとErbB3の発現を検索し、癌細胞分散とこれらのタンパクの関連を調べた。癌細胞の浮遊培養により形成される細胞集塊内部では低酸素状態のためにHIF1a(hypoxia-induced factor 1a、低酸素誘導因子1a)の発現が亢進し、さらにこれを介してErbB3発現が亢進することで低酸素環境での細胞生存を助けている。口腔扁平上皮癌の浸潤先端では癌細胞が分散するため酸素供給が容易となりHIF1a発現の減弱が予想されたがこのような発現変化をみられず、しかも細胞増殖に関わるErbB3の発現が弱まる傾向を認めた。口腔扁平癌細胞の生存・増殖には細胞集塊と細胞分散状態で異なる因子が関わっていることが示唆される。 口腔癌組織での浸潤先端の状態を模倣するin vitro細胞分散モデルを用いて、上記タンパクの発現を継続検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当科で樹立した口腔扁平上皮癌細胞の凍結保存状態の悪化のため、予定の実験が遂行困難となっている。残った細胞株から再度のクローニングを行ってEカドヘリン発現株、非発現株の単離をすすめている。 前項で記したように、細胞調整と並行して口腔癌組織での検索を行うことによる研究目的の達成を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌細胞株の再調整を進め、計画した実験を再開し、研究スケジュールの遅れを取り戻す。
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