2016 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of anti-invasion/metastasis therapy targeting integrin-related molecules in oral squamous cell carcinomas
Project/Area Number |
26462846
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河野 憲司 大分大学, 医学部, 教授 (50214664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 俊一 大分大学, 医学部, 客員研究員 (20599659)
高橋 喜浩 大分大学, 医学部, 客員研究員 (60347028)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 細胞接着 / カドヘリン / インテグリン / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
当科で樹立した口腔扁平上皮癌細胞株MOK系の調整を行いながら、HIF1α(hypoxia-induced factor 1α)、ErbB3、ILK(integrin-linked kinase)、laminin 332(laminin 5の改称)の口腔扁平上皮癌(OSCC)における浸潤への関与を、これらのタンパクの組織内発現により調べた。具体的には、癌組織の中心部と浸潤先端部における発現の違いを検索した。 HIF1αは浸潤先端部の癌胞巣が小型化する部位で高頻度に発現していた。HIF1α発現は低酸素環境で誘導されることを考えると、癌細胞が血管と近接する浸潤先端部での高発現は予想に反する所見であった。一方、ErbB3は浸潤先端部の小型胞巣ではやや発現減弱の傾向であった。ILKは癌組織内の分化傾向を示す部分では細胞膜上(細胞間接着部)に弱い発現を認めたのに対して、浸潤先端部では細胞質内に強く発現していた。ILKはintegrin β1の細胞内ドメインと結合し、様々な細胞内シグナルを仲介するタンパクであるが、癌細胞が分散・浸潤する過程で、細胞膜から細胞質内へ移行するものと考える。さらにintegrin β1がintegrin α3とカップルをつくることで認識する細胞外マトリックスlaminin 332の発現をみたところ、浸潤先端部で強く発現していた。癌細胞がintegrin α3β1によりlaminin 332と結合することで、ILKを介した浸潤性亢進を起こしているものと考える。 これらの所見は、われわれが以前に行ったOSCC細胞株を用いたin vitroの研究結果(integrin α3β1によるシグナルが細胞間接着を解除し、浸潤性運動を亢進する)と一致するものである。以上から、ILKをターゲットとした治療によりOSCCの浸潤・転移を制御できる可能性が示唆された。
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