2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌増殖・浸潤を促進するRAGEの分子標的阻害薬の開発
Project/Area Number |
26462848
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
太田 里永子 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 研究員 (30452460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 優樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30440936)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MUC1 / 口腔癌 / 抗体 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌の治療において、形態及び機能の温存治療が社会的にも求められている。口腔癌患者の腫瘍組織には、RAGE(終末糖化産物受容体)が発現しており、RAGEが癌の進展・転移に大きく影響していることが報告されている。そこで本研究では、遺伝子工学技術を用いて口腔癌上のRAGEを標的とした新規薬剤を作成し、その効果とメカニズムを検証することを目的とした。 27年度は、CHO細胞に膜型RAGE (fRAGE)を遺伝子導入したCHO-RAGE及び、口腔癌細胞株を用いて、作成した抗RAGE抗体の機能解析を行った。CHO-RAGE細胞に高親和性のモノクローナル抗体を用いて、腫瘍細胞上のRAGEの発現を検討したところ、市販の抗RAGE抗体では反応できない腫瘍細胞にも反応性が確認できる抗体であることがわかった。また、抗癌剤処理により、腫瘍細胞上のRAGEの発現が上昇する傾向が認められたため、RAGEをターゲットにした治療の可能性が期待された。 また、口腔癌特異的な抗原MUC1分子に対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマよりmRNAを単離後、cDNAを合成した。5’RACE法により、抗MUC1抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域の遺伝子配列を決定した。抗MUC1抗体の重鎖と軽鎖を人工的にリンカーでつなぎ合わせ、抗MUC1単鎖抗体(anti-MUC1 scFv)を発現するベクターを構築した。 さらに抗RAGE抗体と抗MUC1抗体を、Knob-in Holeシステムにて二重機能抗体を作成するため、LCL細胞(EBV感染Bリンパ芽球様細胞)よりヒトIgG1のFc領域の遺伝子をクローニングし、anti-MUC1 scFv抗体と組み合わせた抗体を作成した。 現在、可溶性HMGB1を作成し、CHO-RAGE細胞を用いて、RAGE-HMGB1シグナルを検出するシステムの構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年1月に名古屋市立大学医学研究科免疫学教室より、愛知県がんセンター研究所腫瘍免疫学部に異動した。作成したハイブリドーマや、各種腫瘍細胞を移動させるのに、細胞の調子が良くなかったことなどで時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
移動させた腫瘍細胞の調子が改善されれば、樹立したモノクローナル抗体に、RAGE-HMGB1システムの機能阻害活性を持つかどうか検討する。その後、ハイブリドーマより抗体遺伝子を単離し、MUC1への結合能を持った2重機能抗体を作成する。機能阻害活性が認められない場合は、抗RAGE抗体をヒト型抗体に組換え、ADCC活性、CDCC活性を持つかどうか検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が若干遅れたため、計画していた一部実験が執り行えず、試薬を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れた分の研究を本年度分に組み込み対応する。
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