2015 Fiscal Year Research-status Report
難治性根尖性歯周疾患形成の原因追究に関する多面的解析
Project/Area Number |
26462880
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永山 智崇 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 招聘教員 (60456944)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野杁 由一郎 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50218286)
伊藤 祥作 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90360495)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | バイオフィルム / 難治性根尖性歯周炎 / 16s rRNA遺伝子解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性根尖性歯周炎の多様な病態を解明する目的で、以下の実験を行った。難治性根尖性歯周炎に対する外科的歯内療法および抜歯に際し、① 根尖部の感染の実態を、術中におけるMicroscopeによる観察と術後に得られた根尖に対する16s rRNA遺伝子解析法あるいはSEMによる微細形態学的手法により、② 根尖病変の大きさをCBCTによる画像検査により、③ 咬合性外傷の関与については早期接触やブラキシズムなどの診査により、詳細に解析した。 症例毎における解析と予後の再評価により、以下のような傾向が明らかになってきた。① 根尖部の感染の実態については、これまでの研究により根尖孔外バイオフィルム以外の要素の関与の可能性が示唆されていたが、難治性根尖性歯周炎に至るまでの治療や時間の経過が影響しているように思われる症例をいくつか経験した。また、根尖部の感染の実態をより詳細に調べた方が病態に至った原因を考察できるのではないかと思われた症例も存在した。② 根尖病変の大きさについては、当初は周囲の皮質骨を穿孔しているしているほど難治性になる印象を持っていたが、症例比較により必ずしもその要素だけでは判断できない可能性が示唆された。他の要素として生体応答性(宿主側の要因)が関与しているのではないかと思われた。③ 咬合性外傷の関与については、難治性根尖性歯周炎の直接的な原因因子ではなくて関与因子と考えられるが、①や②と合併している症例ではより対応が困難になるように思われた。 難治性根尖性歯周炎の多様な病態を解明するためには、精度の高い臨床試料の採取と基礎的解析の両方が必要であることが明らかになった。今後さらに症例数を増やし、実験を継続していくことで、科学的エビデンスに基づいた難治性根尖性歯周炎の診断法ならびに治療法を確立したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究の性格上、症例数を集めることが最も大変な要素であるが、過去の研究のデータもあるので、実験計画を大きく変更する必要はないと思われる。実験系についても問題なく機能しているので、研究遂行に大きな障害はないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
症例数については研究協力者との連携をさらに密にし、より質の高いデータを多く増やしていきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
連携研究者が産休に入ったため、基礎的解析(16s rRNA遺伝子解析法、外注)が停滞しているためと考えられる。一方で、臨床試料の収集(症例数の蓄積)とすでに解析済の症例についての結果の検討は順調に進んできている状況なので、環境が整って基礎的解析が再開できれば研究の進展に関しては問題ないと考えている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は基礎的解析(16s rRNA遺伝子解析法、外注)と学会発表、論文作成を行うので、次年度使用額も含めて予算は全て使用することになると考えている。
|