2014 Fiscal Year Research-status Report
高周波/電磁波治療の深在性齲蝕治療への応用―訪問・在宅治療を目指して―
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26462885
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00217770)
湯本 浩通 徳島大学, 大学病院, 講師 (60284303)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 / 骨芽細胞 / 電磁波・高周波 / 遺伝子発現 / 成長因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 骨芽細胞様細胞株(MC3T3-E1細胞)に500 kHzで1秒間/回、10回の電磁波・高周波照射を行い、様々な成長因子の遺伝子発現をreal-time PCRにて継時的に解析した結果、VEGFとFGF2は照射後4-12時間、PDGF-AとCTGFは照射後4-24時間、PDGF-BとTGF-beta1は8時間で顕著な遺伝子発現の増強が認められた。また、Osteopontinは、12-24時間で顕著な遺伝子発現の増強が認められた。 2. in situ hybridization法により骨芽細胞様細胞株(MC3T3-E1細胞)でのVEGFの遺伝子発現は、電磁波・高周波照射時の電極間の細胞で増強していることが観察された。 3. 象牙芽細胞用株(KN-3細胞)に、様々な周波数(500, 750, 1,000 kHz)で1秒間/回、5回の電磁波・高周波照射を行い、照射前から経日的に細胞増殖能を細胞増殖アッセイにより解析を行った結果、照射5日後までには有意な細胞増殖は認められなかった。また、同様の照射条件にて、細胞障害性についてもLDH cytotoxicity Assayにて解析した結果、電磁波・高周波照射による細胞障害性は認められなかった。 4. 象牙芽細胞様株(KN-3細胞)に、500 kHzで1秒間/回、5回の電磁波・高周波照射を行い、6時間培養後にtotal RNAを精製し、遺伝子発現量をPCR arrayにて解析した結果、integrin alphaの増強が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 象牙芽細胞は、歯髄組織において細菌等の外来刺激に対して最前線に位置する為、その役割は非常に重要である。電磁波・高周波の深在性齲蝕治療への応用を目指す為に、まず高周波・電磁波照射の象牙芽細胞に対する細胞増殖能と細胞障害性について検討を行い、象牙芽細胞には障害は認められず、その安全性が確認された。 2. これまでに電磁波・高周波照射が、骨芽細胞に対して照射1日後より成長因子の遺伝子発現ならびに蛋白産生増強を誘導したことより、real-time PCRにて遺伝子発現増強に関して、さらに詳細に検討した結果、照射数時間以内という比較的早期に誘導されることが明らかとなった。 3. 上記に結果に基づいて、象牙芽細胞用株に対して500 kHzで1秒間/回、5回の電磁波・高周波照射6時間後に培養後遺伝子発現量をPCR arrayにて解析した結果、integrin alphaの増強が認められた。 当初研究実施計画と以上の結果を考慮すると順調に研究は進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 我々は、これまでに電磁波・高周波照射は、、骨芽細胞様細胞株(MC3T3-E1)に対して、様々な成長因子の遺伝子発現や蛋白産生を増強する事をMicroarray解析やreal-time PCRにより明らかにし、さらにERK1/2とp38 MAPK pathwayを活性化して成長因子の産生を増強する事を報告した(Cell Physiol Biochem 2015)。今後、電磁波・高周波照射による象牙芽細胞株(KN-3)の反応に関しても同様にMicroarray、real-time PCR、Signal transduction pathwayの解析を行う。 2.我々は、これまでに電磁波・高周波照射の口腔内細菌に対する殺菌効果について、周波数と照射回数による影響を検討した(J Appl Microbiol 2012)。 今後、電磁波・高周波照射の殺菌効果について、電流値による影響も解析する。 3. 歯髄線維芽細胞に対する電磁波・高周波照射の影響を細胞増殖・障害性に加えて、遺伝子発現や蛋白産生に関しても網羅的に解析を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は、これまでに培養に使用して培地や試薬に加えて、Total RNA抽出、細胞増殖Assay KitやLDH Cytotoxicity Assay kitが十分に残っていたために、それらの新規購入が計画当初より少なく、研究費の繰り越しが生じた。また、Microarray解析に先駆けて、まずはPCR arrayにて小規模に遺伝子発現解析を行った事からも研究費の繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、象牙細胞様細胞株(KN-3細胞)や歯髄線維芽細胞を用いて、電磁波・高周波照射による遺伝子発現をMicroarrayにて網羅的に解析し、それ遺伝子の発現誘導や細胞の活性化に関与するSignal Transduction Pathwayの解明という更なる研究を推進める為にも、この繰り越し分と次年度の研究費を使用する計画である。また次年度は、細胞や細菌の培養種も増加する為に、培地作成用試薬や培養器具も多く必要となり、さらに解析に使用する多数種の抗体も必須と考えられ、さらに学会や論文での研究成果発表も今年度より多く行う予定であり、これらの事項に繰り越し分と次年度の研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)