2015 Fiscal Year Research-status Report
高周波/電磁波治療の深在性齲蝕治療への応用―訪問・在宅治療を目指して―
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26462885
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 准教授 (00217770)
湯本 浩通 徳島大学, 大学病院, 講師 (60284303)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 / 電磁波・高周波 / 遺伝子発現 / Streptococcus mutans / 殺菌効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.象牙芽細胞様細胞株(KN-3細胞)に500 kHzで1秒間/回、5回の電磁波・高周波照射を行い、12あるいは24時間培養後にtotal RNAを精製してMicroarrayにて網羅的に遺伝子発現を解析した結果、12時間後ではIntegrin alpha2やCollagen type VII alpha1、24時間後ではFGF23, Cadherin 20やDefensin beta 23の遺伝子発現が2倍以上認められた。 2.電磁波・高周波照射時(500 kHz)の電流値がStreptococcus mutansに対する殺菌効果に及ぼす影響について検討した結果、電流値を増加させると殺菌効果は増強し、寒天培地上での阻止円も大きくなった。さらに複数回照射した場合、総電流値に依存して、殺菌効果は増強した。 3.電磁波・高周波照射時(500 kHz)の能動電極を先端3 mm以外を絶縁体にてCoatingした場合、Coatingしていない電極と比較して有意に殺菌効果は増強した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.象牙芽細胞は、歯髄組織において細菌等の外来刺激に対して最前線に位置する為、その役割は非常に重要である。電磁波・高周波の深在性齲蝕治療への応用を目指す為に、高周波・電磁波照射が象牙芽細胞の遺伝子発現に及ぼす影響について、Microarrayを用いて網羅的に解析を行い、顕著な発現変化を示す遺伝子を絞り込む事ができた。 2.電磁波・高周波照射のS. mutansに対する殺菌効果について、電流値ならびに照射回数依存的にその効果は増大することが明らかとなり、照射による総電流をコントロールすることが重要と考えられた。 3.電磁波・高周波照射の殺菌効果に関して、能動電極の先端3 mmを絶縁体にてCoatingを行い、先端部分のみからの照射する事により殺菌効果が増大した。 当初の研究実施計画と以上の結果を考慮すると、おおむね順調に研究は進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.電磁波・高周波照射により象牙芽細胞様細胞株(KN-3細胞)において、Microarray解析で発現が2倍以上変化した遺伝子について、real-time PCRにてより定量的に遺伝子発現の変化を解析する。さらに、電磁波・高周波照射によるKN-3細胞の石灰化に及ぼす影響に関して、Alkaline Phosphatase活性やNodule形成等について解析する。 2.歯髄線維芽細胞に対する電磁波・高周波照射の影響を細胞増殖・障害性に加えて、遺伝子発現に関しても網羅的に解析を行う。 3.電磁波・高周波照射が歯髄構成細胞(象牙芽細胞や線維芽細胞)の自然免疫機構に及ぼす効果に関して、パターン認識レセプターの発現やそれらを介した免疫反応として炎症性メディエーターの産生に及ぼす影響を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度は、これまでに使用していた培地や試薬類に加えて、Total RNA抽出・精製Kit等が十分に残っていたために、それらの新規購入が計画当初より少なく、研究費の繰り越しが生じた。また、齲蝕原性細菌に対する電磁波・高周波照射の殺菌効果の機序の解析に先駆けて、電流値や能動電極のCoatingによる影響についての解析を行った事からも研究費の繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、象牙芽細胞様細胞(KN-3細胞)と同様に、歯髄線維芽細胞においても電磁波・高周波照射の影響を細胞増殖・障害性に加えて、遺伝子発現に関してもMicroarrayにて網羅的に解析を行い、電磁波・高周波照射が歯髄構成細胞に及ぼす影響を詳細に解明するという更なる研究へ推進する為にも、この繰り越し分と次年度の研究費を使用する計画である。また次年度は、石灰化に及ぼす影響や歯髄構成細胞(象牙芽細胞や線維芽細胞)の自然免疫機構に及ぼす効果に関して解析を行う為の試薬が必要となり、さらに学会や論文での研究成果も今年度より多く行う予定であり、これらの事項に繰り越し分と次年度の研究費を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)