2015 Fiscal Year Research-status Report
光干渉断層画像診断法による象牙質接合界面のクオリティ評価
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26462896
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
宮崎 真至 日本大学, 歯学部, 教授 (70239391)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 接着 / 象牙質 / 光干渉断層画像法 / 超音波透過法 / 脱灰 |
Outline of Annual Research Achievements |
被着対象である象牙質に関しては,口腔内で様々な変化を受けている。とくに,飲食物由来の酸による影響に関しては近年注目されており,これによって構造的にあるいは科学的に変化した象牙質へのコンポジットレジンの接着性について検討が必要である。しかし,チェアサイドにおいてこのような基質的変化を定量的に評価し,介入の指標となり得る診断法は未だ確立されていないのが現状である。そこで,歯質における脱灰抑制および再石灰化傾向を,1310 nmおよび840 nmの波長を有するOCTを用いて検討した。 実験には,ウシ抜去下顎前歯の唇側エナメル質をブロックとして切り出し,耐水性シリコンカーバイドペーパー2000番まで順次研磨したものを用いた。その後,ここに示す人工唾液中に保管した。人工初期齲蝕モデルの製作は,試表面に8%メチルセルロースとpH4.6の乳酸を注入し作成した。脱灰の状況は超音波透過法による縦波音速の系時的変化を測定することで評価した。さらに試片表層の脱灰状況の観察には走査型レーザ顕微鏡を用いた。 その結果,人工初期齲蝕作成前をベースラインとした健全歯のOTDRの波形と,人工初期齲蝕病巣から得られたOTDRの波形比較すると,ベースラインではその値は約-56dBであった。一方,人工初期齲蝕病巣では約-65dBであった。このことは,脱灰によって変化した歯質の構造は,深さ方向へ進展していることを裏付けるものと考えられた。今後,接着材を用いてこの歯質との接着界面の変化を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験条件の設定が終了し,OCTを用いた観察とともにこれを確認するための超音波測定装置を用いた検証を進めている。すなわち,脱灰によって歯質に生じている変化を,OCTおよび超音波透過法によってとらえることができた。今後,機能性モノマーを適用することによって,その種類が酸で影響を受けた歯質に同能な相互作用を生じるかについて検討を加えることへの準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
脱灰の様相を種々に異なるものとした試片に対するコンポジットレジンの接着性について,接着強さ試験とともに接合界面付近での変化をOCTを用いることで検討を加える。試片にはウシの歯を用い,これまでの脱灰条件をいくつかの段階に変更し,脱灰状態をOCTを用いて確認するとともにこれにコンポジットレジンを接着させる。その後,接合界面について再びOCTを用いて観察することによって,接着界面の質的な評価を行う。
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Causes of Carryover |
実験に使用する材料を予定よりも安価で購入することができたところから出費が抑制され,そのためにわずかであるが残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画に則り,ウシ抜去歯の購入とともに歯質接着材料について,歯面処理法が異なる製品をできるだけ多品目購入する。これによって,歯質接着システムごとに異なるであろう接着界面の質の評価を行うことができる。また,OCT測定ならびに超音波装置に使用する各種消耗品の購入費にこれをあてる。また,最終年度にあたるところから,国内学会における成果発表を精力的に行う予定である。
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