2015 Fiscal Year Research-status Report
難治性根尖性歯周炎におけるEpstein-Barrウイルスの再活性化に関する検討
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26462897
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武市 収 日本大学, 歯学部, 准教授 (10277460)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難治性根尖性歯周炎 / 歯根肉芽腫 / Epstein-Barr virus / EBV encoded small RNA / LMP-1 / in situ hybridization法 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性根尖性歯周炎患者の根尖病巣63例を外科的に摘出し、2分割したのち一方を用いて5マイクロのパラフィン切片を作製した。ヘマトキシリンーエオジン染色を行い、歯根肉芽腫と診断した40例を本研究に供試した。40例の歯根肉芽腫を2分割した他方からDNAを抽出し、Epstein-Barr virus (EBV)の存在をreal-time PCR法で検出した結果、32例(78.1%)でEBVを確認した。また、EBV(1X10の6乗 コピー)を10倍ずつ段階希釈し、real-time PCR法によりEBVの検出を行ったのち、検量線の作成を行ったところ、32例中のEBVのコピー数は平均8688.01であった。EBVは唾液中にも存在しているため、根尖病巣を外科的に摘出した際、唾液に触れることで唾液中のEBVに感染してしまった可能性がある。そのため、EBV感染した際発現し、EBV感染の指標とされるEBV encoded small RNA(EBER)に着目し、in situ hybridization法によるEBER陽性細胞の特定を行った。その結果、歯根肉芽腫中のB細胞および形質細胞の細胞質に強いEBER mRNA発現を認めた。また連続切片を使用し、EBV感染により発現するlatent membrane protein-1(LMP-1)の免疫組織化学的検索を行ったところ、同様にB細胞および形質細胞で発現を認め、その局在はEBER mRNA発現細胞と同様な場所に認められた。なお、完全埋伏智歯を抜去する際得られた歯肉を健常コントロールと同様に検索したところ、炎症性細胞数は少なく、EBER mRNA およびLMP-1タンパク発現を認めなかった。以上のことから、難治性根尖性歯周炎患者の歯根肉芽腫には78.1%にEBVが感染しており、B細胞および形質細胞に主に感染していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を申請する前に予備実験を行い、歯根肉芽腫6例からEBVのDNAを検出していたため、EBVが炎症性細胞に感染している可能性が高いことを確認していた。また、EBVの感染を確認する手法として、申請者が熟練し現在までに頻回に行ったことがあるin situ hybridization法を選択したため、予定通りのスケジュールで研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究申請時の計画内容に変更はなく、本年度はEBVの再活性化のメカニズムを解明するため、再活性化に関与するヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤との関連について検索する予定である。HDAC阻害剤の中でも、特にn-酪酸に注目し、難治性根尖性歯周炎の根管から有意に検出される細菌との関係について検索する。細菌はCandida albicans、Enterococcus faecaisおよびPorphyromonas endodontalisを検索の対象と考えている。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要なプラスチック器具(ピペットチップ、6000円相当)を購入するには十分な予算が残っていなかっため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費と合わせて、ピペットチップ等の実験器具や試薬を購入予定である。また、成果発表のための旅費や学会参加費、論文を雑誌に投稿するための英文校正料や投稿料についても使用する予定である。
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