2014 Fiscal Year Research-status Report
生体高分子ポリリン酸が間葉系幹細胞の分化に及ぼす効果
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26462905
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 和彦 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70261013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾関 伸明 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70469005)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリリン酸 / iPS細胞 / 象牙芽細胞 / マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP) / MMP-3 / TIMP |
Outline of Annual Research Achievements |
生体高分子ポリリン酸が間葉系幹細胞の分化に及ぼす効果を検討するにあたり、まずその基礎的知見を得るため被検細胞を当初計画のヒト間葉系幹細胞に代えて、人工性多能性幹細胞(iPS細胞)から誘導した高純度象牙芽細胞(iPS-OD)を使用し、創傷治癒促進や骨再生能が注目されている中鎖分割ポリリン酸を自家調製してiPS-ODに作用させ、iPS-ODの増殖と分化に及ぼす効果について検討し、以下の結果を得た。 1.ポリリン酸の調製:ポリリン酸ナトリウム (太平化学産業)を原材料として、エタノール沈殿法を用いて、鎖長65の分割ポリリン酸(Poly-P65)を調製した。 2.Poly-P65の細胞増殖における至適濃度の検討:iPS-ODを6ウェルプレートに100,000 cells/well になるように播種し、24時間培養後 PBS (-) で洗浄した。1% FBS含有D-MEMを加え、Poly-P65(0.05, 0.1, 0.2, 0.5 mM)にて24時間刺激後、BrdUを用いたcell proliferation ELISA kit (Roche Applied Science)にて細胞増殖活性測定を行った。その結果、0.1mMのPoly-P65添加群において、統計学的有意な細胞増殖が観察された。 3.Real time-PCR法による分化マーカー遺伝子発現の検索:0.1mMのPoly-P65添加における細胞外マトリックス形成の分化マーカーであるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-3とそのインヒビターであるTIMP-1、-2、-3 の遺伝子発現について検索を行った結果、コントロールと比較して0.1mM のPoly-P65添加群に統計学的有意なMMP-3の遺伝子発現が観察された。一方、TIMPsの恒常的な遺伝子発現を見出したが、Poly-P65による発現変動は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鎖長65の分割ポリリン酸(Poly-P65)がiPS細胞由来高純度象牙芽細胞iPS-ODの増殖と分化に影響を及ぼすことがわかった。この基礎的知見は、今後Poly-P65がヒト間葉系幹細胞の分化に及ぼす効果を検索していくうえで非常に有用である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、引き続きiPS細胞由来高純度象牙芽細胞iPS-ODを用いて、Poly-P65添加による新たな分化マーカーの遺伝子発現(ALPase、DSPP)およびタンパク産生(MMP-3、 TIMP-1、-2、-3、ALPase、DSPP)の検索を行うとともに、分化マーカーの酵素活性を測定する。その結果をふまえて、平成27年度以降は、ヒト間葉系幹細胞を用いて、同様の検索を当初の研究計画通りに行っていく。
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Causes of Carryover |
学会参加(大阪)および学会発表(横浜)が近距離であったため、旅費の一部が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用の旅費については、海外での研究発表などを予定する。
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Research Products
(2 results)