2015 Fiscal Year Research-status Report
チタニアナノチューブへの可視光応答性付与による高機能漂白材料の創製
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26462906
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
山本 一世 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50288776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関野 徹 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20226658)
吉川 一志 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (30309182)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノチューブ / チタニア / 歯の漂白 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯牙漂白法で用いられる薬液は、30~35%の高濃度の過酸化水素水を用いることが多く、その副作用として、歯質表面を塑造にし、有髄歯では知覚過敏症、無髄歯では歯根に外部吸収を引き起こす可能性が報告されている。近年、酸化チタンの光触媒作用により低濃度の過酸化水素でも漂白効果が引き出せる材料が開発されたが、過酸化水素の生体への危険性および歯質の侵襲は完全には抑えられない。本研究は、従来の酸化チタンよりも高機能光触媒材料である酸化チタンナノチューブの低次元ナノ構造および結晶構造を制御して可視光応答性を付与し、従来の漂白剤よりさらに低濃度の過酸化水素水で高い漂白効果を与え、患者への危険性および歯牙侵襲を最低限に抑える漂白剤の開発し、高機能な新しいナノ生体材料創出のための指針を構築する。 各作業過程においてサンプリングを行い、合成プロセスすべてにおいて相関関係を検討し、生成メカニズムを明確にする。また、形態制御が可能かどうか検討し、サイズ制御因子を抽出する。そして、最適な材料が創製される条件を確立する。微細構造評価では、走査型電子顕微鏡(SEM)(既存設備)と透過型電子顕微鏡(TEM)(既存設備)を使用し、低次元ナノ構造およびサイズを観察する。また、X線回折装置(既存設備)を用い、定性分析と定量分析を行い、TNTが作製できているかどうか確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
化学合成法によるTNTの生成メカニズムの解明については、研究分担者の関野らが発見した鋳型などは用いずに自己組織化によって形状がほぼ一定なTNTを生成することができる化学合成法を用いた。酸化チタンはアナターゼ型3.2eV、ルチル型3.0eVのバンドギャップエネルギーを持っており、紫外線を利用して光触媒として利用されている。しかし、歯科治療で用いられている光源は可視光領域であり光触媒特性を最大限発揮できない。そこで、歯牙漂白治療へ応用させるために、硫黄ドープによる可視光応答型酸化チタンナノチューブ(S-TNT)の作製を行った。TNT作製の化学合成プロセスに準じて、原料に硫黄源としてチオウレアを加えてS-TNTを作製し、様々なサイズのTNTにおいて修飾を試み、結果のフィードバックを行ない、TNTサイズと硫黄ドープの相関関係を明確にし、制御条件の指針を得ている。現在のところ安定した可視光応答型酸化チタンナノチューブ(S-TNT)の作製には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
可視光応答型TNTの作製には、カチオン状態の化合物として格子間に導入する方法だけでなく、硫黄原子を酸素と交換する手法も検討する。また、この実験では、研究分担者であるナノ材料工学が専門の関野の知見が必要である。
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Research Products
(1 results)