2015 Fiscal Year Research-status Report
高齢双生児研究:口腔機能と全身の健康状態に関する共分散構造分析
Project/Area Number |
26462918
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 謙一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80448109)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 双生児歯科検診 / データ整理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は合計42名の双生児に対する歯科検診を実施することが出来た. なお本年度では,参加者から収集したデータをパノラマX線写真および上下顎模型以外全てExcelファイルにてデータ化し,データベースの構築を行っている.また,これまでに,口腔疾患や口腔機能,口腔の形態学的要素に関して遺伝率の推定を行い,その結果を学会ならびに論文にて示した.また,一卵性の双子のデータを用い,口腔健康に関連のある環境因子の特定,ならびに遺伝因子を排除した上で口腔健康と関連のある環境因子を追究しているところである. なお,今年度の成果としては,平成27年5月30日に行われた日本補綴歯科学会で,「口腔機能における遺伝因子と環境因子:中高齢者の双子研究より」という演題で課題口演を行い,優秀賞を受賞した.本発表ではまず初めに,これまでの成果の一つである,歯周病や歯の喪失,骨格的要素に加え,口腔機能といった表現型に対して影響を与える遺伝因子と環境因子の割合を推定した結果を示した.続いて,口腔の骨格的要素は,身長や体重と同じく,遺伝因子の影響を受ける一方で,歯周病や歯の喪失は環境因子の影響を受けやすいこと,さらに咀嚼能率は,遺伝因子の影響を63%,環境因子からは37%影響を受けていることを報告した. また,その他に遺伝素因が全く等しいと見なせる一卵性の双子に着目し,双子間の緑黄色野菜の摂取量の差と口腔機能との関連を検討した.咀嚼能率の環境因子に影響を受ける部分が,緑黄色野菜の摂取量と有意な関連があることが示された.つまり,これらの分析を進めることで,歯科治療などの環境因子の影響を受けて変化する咀嚼能率は,ヒトの健康を維持するのに大切な緑黄色野菜の摂取量と関連があることが明らかとなる可能性があると言える.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は予定よりデータ収集が少ない結果となったが、 これまでの蓄積しているデータと合わせ300組以上の双子のデータを集めることが出来ている。 平成28年度は分析やデータ整理を進めたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度も引き続き双生児の歯科検診を継続すること並びにデータの整理を進めていきたいと考えている。さらに、具体的な分析方法としては以下のものを考えおり、その実現に向けてのデータセットの構築や統計処理方法についての検討を行いたい。 (1)環境因子の影響を大きく受ける歯の喪失や歯周病に対して,具体的にどのような環境因子が影響を与えるかを,口腔健康の状態が不一致な一卵性の双子に注目し,検討する. (2)口腔健康状態がペア間で異なる一卵性ペアを対象に,遺伝子のメチル化率を比較し,そのメチル化修飾を引き起こす環境因子を分子遺伝学の手法を用いて検討する.
|
Causes of Carryover |
本年度はデータ収集数が少なかったため、データ入力や整理に対して算定していた人件費が不要であったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画全体からみると少額と言えるため、調査旅費や物品で使用する予定である。
|