Outline of Annual Research Achievements |
概形印象採得によって得られた研究用模型からCAD/CAM技術を用いて咬合圧印象用トレーを製作し, そのトレーを用いて印象採得を行い, その印象精度を検討した. 概形印象採得は, 通法による既製トレーとアルジネート印象材により行った. 印象採得後直ちに硬石膏にて研究用模型を製作した. その模型を3Dスキャナ(Dental Wings 7Series, Dental Wings, Canada)によりスキャニングを行い, PC上に顎堤形状を再現した. 再現された顎堤形状に対して, 咬合圧印象用トレーをCADソフト(Rhinoceros 4.0, Robert McNeel & Associate, USA)を用いて設計した. 咬合圧印象用トレーの設計は, 松本が考案した咬合採得用金属リムの形態を参考にした機能的咬合採得法が可能となる形態とした. 設計したトレーを3Dプリンタ(Projet 460Plus, 3D systems, USA)を用いて製作し, 咬合圧印象用トレーを用いて, タッピングなどの方法によって中心咬合位を採得後, 閉口位にて辺縁形成(エグザデンチャーボーダータイプ, GC, 東京)を行い, 印象採得(エグザデンチャー, GC, 東京)を行った. また本印象結果を評価するために, 通常の技工方法で製作した個人トレーで, 同様の印象材を用いて, 辺縁形成, 精密印象採得を行った. それぞれの印象体から作業用模型を製作, 3Dスキャナによりスキャニングを行い, 顎堤形状を構築した. 咬合圧印象用トレーを用いた印象採得と従来法による精密印象採得から得られた顎堤形状を3次元データ検査ソフトウェア(Gom Inspect, GOM, Germany)を用いてその形状差を検討した. デジタル技術で製作した咬合圧印象用トレーによって得られた顎堤形状と従来法による精密印象採得により得られた顎堤形状との差は, 臨床的な許容範囲内であると考えられ, デジタル技術を用いた全部床義歯治療の効率化に成功した.
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